くらし [特集]進む空き家解体、その後の活用へ。

市内で空き家の解体が進んでいます。この記事では、空き家解体後の土地が商業施設として生まれ変わった事例や先日開催された空き家の家財整理についての講演会を紹介します。

■20年の管理にピリオド
東京都在住Sさんは空き家について頭を悩ませていました。所有していた建物は築65年のコンクリートブロック造に木造で増築した120坪の一般住宅。20年にわたりSさんが管理してきましたが、土地が広いことと東京に住んでいることがネックとなり、十分に管理が行き届いているとは言えない状況でした。
転機が訪れたのは昨年。市内の不動産仲介業者から隣接地を含めた土地一帯利用の話があり、今年7月に開始した柳井市空き家除却補助事業が空き家の管理に悩むSさんの背中を押しました。
Sさんは「空き家に隣接する方々に迷惑をかけていたが、先祖代々引き継いできた土地であることに加え、優柔不断なことがありなかなか動き出すことができなかった。解体することがふるさとの発展につながることから、更地売却するに至った」と決断の経緯を語りました。

◇地域が明るくなった
Sさんの土地は解体された後商業施設に生まれ変わりました。地元住民は「以前は木も茂っておりうっそうとしていた。(新たに商業施設ができて)地域が明るくなった」と話しました。

◇すでに40件超の申請
今年7月に拡充された柳井市の「空き家除却補助制度」。
3年間の重点取組として、従来の補助制度と比較して補助額が大幅にアップし、補助要件も大幅に緩和されています。この全国に先駆けた制度の開始から4カ月で40件以上の申請があったことについて、同制度を所管する建築住宅課の木戸課長は「所有者の関心と潜在的な需要の高さがうかがえる」と述べました。

■空き家の家財整理についての講演会が
開催されました
10月4日(土)、空き家対策プロジェクト(一社)さくらブリッジ理事湯上みどりさんを講師に迎え、「空き家になる前・なった時、家族で考える『片付けと2つの整理』」と題した空き家に焦点を当てた講演会がアクティブやないで開催されました。
湯上さんは、近年の空き家の現状について「ただ空き家を放置していると、子や孫の代まで引き継がれていく。近隣住民にも迷惑がかかる」と述べ、家財整理の必要性に触れ「片付けを業者に頼むことはできるが、その前にモノの『いる・いらない』を判断しなければならない。特に、残された思い出の品は親族では判断しづらいが、所有者が中心となって確認・意思決定をしてほしい」とアドバイスしました。
数多くの整理の現場に関わってきた経験を踏まえ「空き家や実家の問題は家庭によって事情が異なるため一人で抱え込む人が多い。一人で悩まず、家族と話してほしい」と話を結びました。

■専門家がお答えします 気になる空き家のあれこれ
▽空き家を放置すると、どんな問題が起こりますか。
景観が損なわれることで近所に不快感を与えたり、不法侵入などの犯罪の温床になる可能性があります。また、将来的に相続人が多額の修繕費や処分費を負担することになり、迷惑をかけてしまうことがあります。

▽空き家を解体すると、どんな良い効果がありますか。
倒壊のリスクを防ぎ安全性が向上します。更地になることで活用や売却がしやす
くなるほか、周辺の土地にも良い影響を与えます。

▽空き家の解体を迷っている人に専門家としてどんなアドバイスがありますか。
所有している空き家に事故が起きれば所有者に責任が問われるため、そうなる前に何らかの対応を講じる必要があります。柳井市の空き家除却補助制度では、解体費用の半額(最大150万円まで)が支援されるため、空き家の解体を考えている方にとって非常に心強い制度といえるでしょう。まずは市役所の担当窓口へ相談してみてください。

山口県宅建協会 柳井支部長主計さん
問い合わせ:山口県宅地建物 取引協会柳井支部
【電話】23-2389

問い合わせ:建築住宅課
【電話】22-2111内線241