文化 阿武町町制施行70周年記念フォトコンテスト入賞作品

■6部門応募総数219点のうち最優秀6点を紹介します
一覧については本紙をご参照ください

■フォトコンテスト審査員講評
▽森の部(最優秀賞)
普段立ち止まる事もなく通り過ぎる道沿いのため池。葉も落ち裸樹の湖面への映り込みが美しい。
「森」と言うなかなか難しいテーマの中、よくぞここの景色を捉えてくれたと満場一致の最優秀賞となった。
ピーカンであろう撮影日にも関わらず、日陰になっている時間帯を選ぶ事で水中木で裸樹になった幹の白さと湖面への映り込みがより強調された。

▽里の部(最優秀賞)
ここの場所に来ると多くの人が惣郷鉄橋をメインとして捉えがちだが、引きの構図でこの時期この時間帯でしか撮れない情景が絶妙なタイミングで捉えられている。
残照に光る水田と川面が作品をより格調高き作品としている。夕暮れにポツンと灯る外灯1本が静かで平和なこの地区を現している様だ。
後年に残していきたい美しい情景である。

▽海の部(最優秀賞)
強い日差しと日傘、赤とピンクの洋服の女性二人、青い空と海そして幸せのモニュメント、遠くに女鹿島。
役者が揃い踏みで爽やかな情景が捉えられている。
写真は光と影で構成されるとよく言うが、その光と影で上手く構成されている。
手前の日陰部分があるからこそ画面を引き締め、季節柄の日差しがより強調され活かされる作品となった。

▽人の部(最優秀賞)
写真の面積で言うと小さな部分かもしれないが、そこに捉えられた同級生2人、男の子の表情が何しろ良い。
視線の先にきっと友達であろう人がいるのであろうと推測できる。男子女子関係なく皆が仲良くよい関係を築かれているのだろうなと微笑ましく思える。
これから思春期を迎えるお年頃も来るのであろうがこの素直で素敵な笑顔のままでずっといてほしいものだ。

▽鹿島の部(最優秀賞)
リニューアル前の『道の駅阿武町』オープン当初からここにある象徴とも言える榎と栴檀の木をシルエットで前景に配し、夕日に光る海とシルエットで浮かぶ男鹿島と女鹿島。画面左右に鎮座する大木のシルエットが画面を引き締め単調になりがちな鹿島の風景をドラマチックに仕上げている。手前にある薄らと光るベンチが重くなりがちな画面を整えるポイントとなっている。

▽SNSの部(最優秀賞)
鳴き砂のきめ細やかな浜と穏やかな青い海と青い空、地元の子であろうか、豊かで贅沢な空間を独り占めしている様が羨ましい。
撮影者はきっと親御さんであろうと推測する。波打ち際で服を着たまま子供を優しく見守りながらシャッターを切っている。そんな情景が目に浮かんで来る写真。その豊かな心をずっと携えて成長してほしいと思える作品。

■総評
フォトコンテスト募集にあたり告知媒体が限られていた中、自治体主催のコンテストにも関わらず町外・県外からも含め219点もの応募数があり、選考にあたり拮抗した作品が多く、選考の際、大いに悩んだ。
老若男女、町内外の多くの人達に風景・情景・生活の「現在」そして「今後も残していきたい美しき景観」を、普段当たり前の景色として見過ごして来た美しき情景を捉えて頂いた事で改めて阿武町の「魅力」を再発見する事となった。
写真の表現は平面的な見た目に思えるかもしれないが、その奥にある作者の思いや意図を読み解きながら選考した。