健康 うちのお医者さん[189]「認知症対策」

阿波町南西谷賛広診療所 大塚明廣(おおつかあきひろ)先生
最近、長寿になったため認知症になる人が増えています。外来に認知症の患者さんが来られます。認知症テストをして治療が必要な場合には投薬しますが、はっきり言って認知症が良くなった例はありません。認知症薬の効能書にも認知症が良くなるとは書いておらず、進行を遅らすとあります。そんな薬はあてにできません。

■ではどうすればいいのか?
私は4年ほど前から生活習慣病対策として住民の方々に運動習慣を取り入れるため、テニス部を立ち上げ、ほぼ毎朝、阿波町のテニスコートで練習をしています。年齢制限や運動歴にこだわらずに部員を募集したところ、中高年の人たちが30名ほど集まり、70代の運動部未経験の方も数名参加してくれました。部活前には、けが防止のため、私が考案した健康体操を15分ほど行います。練習は個人の能力に合わせて行い、テニス経験者の方にいろいろと教えていただきました。
今ではすべての部員が入部する前に比べて、運動能力、技術ともに向上し、初心者のテニス大会で優勝することもできました。体力的にも全員の心肺機能や免疫力の向上が認められ、生活習慣病の克服や骨粗しょう症まで治癒することができました。
私は、この結果を認知症、すなわち脳の老化や機能低下にも使えるのではないかと考えました。そこで、今年の4月から脳トレクラブを立ち上げる準備を始めています。
私の叔父は認知症のため行方不明になり、山で死亡しました。また、75歳を過ぎると運転免許証の更新には認知症テストがあり、合格点を取らないと免許証をもらえません。認知症対策として脳トレは効果があります。脳トレの本も出版されていますので利用してみてください。
人間は年を重ねると、老化のため身体の不自由さが出てきますが、諦めずにトレーニングをすると克服できます。阿波市の皆さん、一緒に頑張りましょう。

このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。