- 発行日 :
- 自治体名 : 徳島県阿波市
- 広報紙名 : 広報あわ 2025年11月号
阿波町南柴生西川内科クリニック 天野未年生(あまのみねお)先生
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸・低呼吸を繰り返すのを特徴とし、日中眠気が強く、仕事や勉強の効率が落ちることが多くなります。また、高血圧や心疾患の原因になることもあり、大きく二種類に分類されます。
(1)何らかの原因で呼吸運動自体が停止し、無呼吸となる「中枢型」
(2)呼吸運動はあるものの、肥満や顎が小さいことで気道の閉塞が起こり、呼吸が停止する「閉塞型」
中枢型は頻度が低く、ほとんどは閉塞型です。自分では気付きにくく、家族に指摘されることが多いようです。
以前、大学病院で勤務していた時に、睡眠時無呼吸症候群の検査をしていたことがあります。当時は解析ソフトなどなかった時代で、病院の一室で、患者さんの睡眠中の脳波、眼電図、心電図、鼻と口の気流、胸腹部の呼吸運動筋電図、酸素飽和度を終夜不眠で記録し、解析するという過酷なものでした。複数人検査しましたが、中には2分以上呼吸が停止する人もいて、酸素飽和度が危険なレベルまで低下し、慌てて起こしに行ったことも何回かありました。ご本人には無呼吸の自覚はないのですが、体にとっては大きな負担であることは間違いありません。
有病率は、文献によりさまざまですが、全人口の約2~4%です。単純計算でも徳島県には2万人前後おられるのではないでしょうか。
最近はコンピューターによる解析ソフトもあり、簡易的な検査であれば、ご自宅で検査できます。簡易検査で、無呼吸・低呼吸の頻度が1時間当たり40回以上あれば、保険適応で「持続気道陽圧療法」という治療も受けられます。治療により多くの方に症状の改善がみられています。
気になる方は、一度検査を受けてみられてはいかがでしょうか。
このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。
