しごと 挑戦するかがわのものづくり企業(82)

◆プロテノバ株式会社
【住所】東かがわ市西村1488番地1
創業:2005年
従業員数:15人
【電話】0879-49-0702
【HP】https://protenova.com/

治らない、治りにくいといわれる病気の治療に大きく貢献する医薬品。その原料となる機能性の高いタンパク質の開発に成功し、世界的な評価を得ながらもさらに第一線を走り続ける香川の企業を紹介します。

■世界トップレベルの開発力で先端医薬品の発展に貢献
◯抗体医薬品に欠かせない高機能な原料をつくる
人体には、侵入してきた異物に「抗体」が結合して無毒化する免疫システムがあります。この抗体を活用する「抗体医薬品」は、リウマチや悪性度の高いがん、アトピー、血友病などの治療に副作用が少なく、高い治療効果をもたらしてきました。
プロテノバは、抗体医薬品の製造に不可欠な「抗体結合タンパク質」を製造する企業。創業者の真島英司(まじまえいじ)さんはタンパク質の専門家。大学時代からタンパク質を研究し、大手製薬会社で研究開発に携わる傍ら徳島大学で薬学博士号を取得しました。
「タンパク質を扱う技術をビジネスにしたい、面白い研究がしたい」と夢を追いかけて1990年に徳島でベンチャー企業を共同で立ち上げました。当時貴重だったタンパク質の微量解析のノウハウを確立し、全国で「タンパク質の解析なら真島だ」といわれるまでに。田中耕一氏がノーベル賞を受賞したことで注目された質量分析技術を用いてタンパク質の解析を行っていましたが、その一方、類似企業が急増し、独自性を発揮しづらくなっていました。
そのような状況の中で注目したのが、抗体結合タンパク質の研究開発です。ちょうど抗体医薬品が登場し始めた頃で、医薬品製造には不純物を取り除くためにアルカリで洗う工程があることを知っていた真島さんは「タンパク質とアルカリは相性が悪いはず。抗体結合タンパク質をアルカリ洗浄できなくて、現場は困っているのでは?」と課題を直感的に感じ取ります。そこでタンパク質の改良に必要な知識と技術がそろっていることを強みに、2005年、アルカリに強いなど産業用に使いやすく改良した抗体結合タンパク質の開発を目指して、香川の地で新たにプロテノバを設立しました。

◯まなざしは世界へ
徳島を拠点としていた真島さんが、再スタートするにあたり香川を選んだのは、当時の県やかがわ産業支援財団の起業支援が類を見ないほど手厚かったからだそう。「タンパク質の改良は時間のかかる研究で、軌道に乗るまでの10年間は、先見性の高い香川県の支援に助けられました」
同社が開発したタンパク質は、医薬品製造工程で、アルカリで100回以上の洗浄を繰り返しても機能を失わない「アルカリに強い」性質と、医薬品の生産性を高める「抗体結合量が多い」性質を特長としています。同じテーマで研究を進める海外企業と開発を競い、世界初の冠は惜しくも逃がしましたが、「2番手だからこそより良いものがつくれる」と機能性を高めたことで、世界的に高く評価される製品になりました。
今年設立20周年を迎えた同社。博士号を持つ5人を含めた研究職員は生物・化学系出身者が多く、製造に必要なスキルを身に付けたエキスパートです。
真島さんは「一人何役もこなしながら世界を相手に戦う面白さと、優れた医薬品の原料を提供することで治療を支える社会貢献が、当社の存在意義です」と語ります。「さらに優れた製品を生み出し、社会に喜ばれる会社でありたい」と展望を語っています。

◎抗体医薬の仕組み
抗体医薬は異常のある細胞に含まれるタンパク質のみに反応して結合し、異常のある細胞の働きを止め、免疫細胞が攻撃できる状態にする。
異常のある細胞に含まれるタンパク質は病気によって異なり、それぞれに反応する抗体医薬を使い分けて治療する。
※詳細は広報紙8~9ページをご覧ください。

問い合わせ先:(公財)産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904