くらし しあわせCOCORO通信

■あたらしい人権課題
~ゲノム情報(遺伝子情報)に関する偏見や差別をなくそう~
「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律(ゲノム医療推進法)」が、2023年6月16日に公布・施行されました。これを受け、法務省は、令和7年度に特に力を入れて広く伝えたいテーマのひとつとして、「ゲノム情報(遺伝情報)に関する偏見や差別をなくそう」を掲げています。

(1)遺伝子、ゲノムって何?
私たちの体には、親から受け継いだ設計図のような情報があります。
遺伝子:髪の色、目の形などパーツの特徴を決める設計図
ゲノム:体全体を作るための設計図一式このゲノム情報は、生まれてから一生変わりません。

(2)医療での活用
ゲノム情報を調べる「遺伝子検査」によって、将来かかる可能性のある病気の予防や早期発見、体質に合った治療法を選択できるようになります。
また、がんゲノム医療では、患者のがん細胞の遺伝子変異を調べて、最適な治療法を選択するための情報提供のほか、遺伝性疾患のリスク評価や特定の薬剤に対する反応を予測するためにも利用されます。しかし、遺伝子検査の結果は100%正確ではなく、倫理的な問題や個人情報保護の課題も存在します。

(3)ゲノム(遺伝子)に関する偏見や差別
ゲノム情報の扱いを誤ると、本人や家族が偏見や差別を受けることがあります。例えば、次のような事例が報告されています。
・検査の結果を理由に、まだ健康なのに生命保険の契約を解除された
・検査の結果を理由に、採用を断られた
・乳がん予防手術を受けたことを理由に解雇された
自分の病気が遺伝性と分かり、子どもの結婚や就職に影響が出るのではと不安を抱えながら生活している人もいます。背景には偏見や差別があり、こうした行為は、本人の尊厳を傷つけ、安心して医療を受ける権利を奪うものです。

(4)私たちにできること
ゲノム情報は、最も個人的で大切な情報です。
間違った思い込みや偏見を持たず、一人ひとりが正しい知識を持ち、冷静に判断することが大切です。
私たちも、
・「遺伝情報がある=必ず病気になる」ものではないこと
・検査を受けるかどうかは本人の自由であること
・情報の取り扱いには十分な配慮が必要であることを理解し、
偏見や差別のない社会をつくっていきましょう!

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みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)
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