スポーツ 障がい者スポーツ特集(1)

■誰もがスポーツを楽しみ、つながる社会へ
走る姿、投げる瞬間、歓喜のゴール。スポーツは人を熱くし、誰かの挑戦を応援する喜びを与えてくれます。
今年は日本スポーツマスターズ2025愛媛大会(愛媛県初開催)、全国障害者スポーツ大会(滋賀県)が行われ、さらに11月15日からは東京2025デフリンピックが開催されます。
今治から挑戦する選手たちの姿を通して、スポーツが持つ力を一緒に感じ、応援の輪を広げていきましょう。

◆私たちと一緒に「挑戦」しましょう!
◇続ければ夢は叶う 水の中で見つけた、自分の輝き
木村 倖彩(きむら さあや)さん
出場種目:水泳(知的)
25m・50mバタフライ
「水泳で一番楽しいのは、遠征で全国のライバルや友達と競い合い、メダルを獲れたり自己ベストを更新できたとき」と笑顔で話してくれます。とりわけ印象に残っているのは、6月の日本知的障害者選手権。右肩を故障し練習もままならない中で迎えた大一番でした。世界選手権出場がかかった試合で派遣標準記録を突破できた瞬間にこみ上げた喜びと達成感は忘れられないそうです。
日々を支えてくれる家族やコーチへの感謝も忘れません。「どんな結果でもそばで応援してくれる家族、気持ちが揺れるときでも夢を一緒に追いかけてくれるコーチ。本当にありがとう」とまっすぐな言葉を届けてくれました。
今後の目標は、12月のアジアユースパラリンピックで金メダルを獲ること。そして、夢はパラリンピック出場です。「3年間ベストが出ず、苦しくて泳ぐのが嫌になったこともありました。でも練習を続ければ必ず夢は叶う」と、自らの経験をもとに力強いメッセージを語ってくれました。
倖彩さんにとってスポーツの魅力とは、「仲間やライバルと喜びも悔しさも分かち合えること」。水の中で挑み続けるその姿が、次の夢へとつながっています。

◇一球にかける情熱 勝利を信じて打ち抜く
杉野 恵莉子(すぎの えりこ)さん
出場種目:卓球(精神)
ここ4~5年は多い時で週4回練習を重ね、卓球に真剣に向き合ってきました。「スマッシュが決まった瞬間は最高に気持ちいい。サービスエースが決まると声も出ます」と杉野さん。試合では相手の戦術を読み、一球ごとに立ち位置を変えて対応。得意のバックハンドでつなぎながら相手のミスを誘うのが持ち味です。去年のサンアビ杯では、心も体もかみ合い、強豪相手に120%の力を発揮して勝利。忘れられない経験となりました。
熱く戦う姿の裏には、家族の存在があります。「子どもにカッコイイ姿を見せたい。メダルは金しか見えていないので、メダルを子どもにかけてあげたい」と熱い想いを語ってくれました。
これからも卓球を続け、何歳まで優勝できるか挑戦していくのが目標。「障がいがあっても、みんなで一緒にレベルアップできるのがスポーツの魅力。区別ではなく、対等に楽しめるのがいいところ」と話します。
仲間と共に切磋琢磨し、家族の想いを背負って挑む杉野さんの姿は、スポーツの持つ力強さを改めて感じさせてくれます。

◇支えがあるから強くなれる ボッチャがくれた挑戦の勇気
光永 倖明(みつなが こうめい)さん
出場種目:ボッチャ
小学校6年生のとき、授業やお父さんの仕事をきっかけに始めたスポーツ。やってみるとすぐに楽しさを感じ、気づけばもう3年が経ちました。練習を重ねる中で一番うれしい瞬間は、思い描いたところにボールを投げられた時。「上達したな」と実感できるのが励みになっています。
これまでで特に印象に残っているのは、県大会でベスト4をかけた試合。タイブレークの末に勝利を収めたときの喜びは忘れられません。最初に出場した大会では1回戦で敗れてしまい悔しい思いもしました。しかしそこから練習を重ね、次の大会で良い結果を出せたことが、大きな自信につながっています。
「支えてくれるすべての人に感謝しています。練習に連れて行ってくれたり、コツを教えてくれたり。本当にありがとうございます」と、応援への思いもまっすぐに語ってくれました。
今後の目標は「大会で優勝すること」。その先には、同じようにスポーツを頑張る仲間へ「負けていても最後まで諦めないで」と力強いメッセージを届けます。失敗しても次のプレーで巻き返せて逆転できる。そんなスポーツの魅力を胸に、挑戦はこれからも続いていきます。

◆〔競技紹介〕ボッチャ
ボッチャは重度の脳性まひ者や四肢まひ者のために考案されたスポーツです。誰もが自分の意志でプレーできる工夫は、パラスポーツの理念を体現しています。ジャックボールと呼ばれる白い目標球に、赤・青のボールをいかに近づけるかを競う、シンプルなルールながら技術・戦略は奥深く、観客を楽しませてくれます。
ボッチャは頭脳戦と言われる通り、何手も先を読んで、自分が優位に立てるように位置取りをしていきます。相手のボールを弾いたり、時には的となるジャックボールを弾いて移動させたりと、戦略を実行するための技術力も求められます。
日本パラスポーツ協会『全国障害者スポーツ大会ガイド』より

◆3人が出場予定!「第24回全国障害者スポーツ大会」10.25(土)~27(月)
◇参加資格
身体障がい、知的障がい、精神障がいなどの障がいがあり、13歳以上で都道府県や指定都市から選考された選手

◇個人競技
陸上競技、水泳、アーチェリー、卓球、フライングディスク、ボウリング、ボッチャ

◇団体競技
車いすバスケットボール、グランドソフトボール、フットソフトボール、バレーボール、バスケットボール、ソフトボール、サッカー