スポーツ 障がい者スポーツ特集(2)

◆私たちと一緒に「応援」しましょう!
◇笑顔の輪をもっと広げたい
今治市障がい者文化体育施設
サン・アビリティーズ今治施設長 胡井 志保(えびい しほ)さん
サン・アビリティーズ今治は、パラスポーツの体験や大会を通じて、挑戦できるきっかけをつくることにも力を入れています。利用者の方から「ここに来ると元気をもらえる」と言っていただけるのは本当にうれしいです。これからも“元気をもらえる居場所”であり続けたい。そして、世代や立場を超えて笑顔の輪をもっと広げていきたいですね。

・大会はみんなでつくるもの
特に印象に残っているのは、利用者親善ボッチャ大会です。障がいの有無や年齢に関係なく、誰でも一緒に楽しめるよう工夫しました。会場では、お互いに褒めあったり、声をかけあったり、思いやりをもちながらプレーする方が増えていきました。その光景を見て、「スポーツは勝ち負けだけでなく、人と人がつながり、笑顔や応援が生まれることにこそ価値がある」と改めて感じました。あの場面は、私たちがサンアビで育んできた雰囲気が、ひとつの形として現れた瞬間でした。

・誰もが気軽に立ち寄れる場所
障がい者のための施設と思われがちですが、実は障がいのある方もない方も一緒に楽しめる場所なんです。スポーツをしたり、おしゃべりをしたり、利用の仕方はさまざま。子どもから高齢者まで幅広い世代の方が集まっています。ここに来れば顔なじみができて「また来たよ」と声をかけあえる。そんな「人とのつながりを今の時代でも感じられる」ことが最大の魅力だと思います。

〔サン・アビリティーズ今治〕
【電話】0898-48-3477【FAX】0898-47-3629
住所:喜田村2-1-10
時間:9:00~21:30
休館日:火曜日、祝日、年末年始
※火曜日が祝日の場合、水曜日も休館

◇100周年を迎えるデフリンピック※日本初開催!(11/15~11/26)
愛媛県聴覚障害者協会会長
しまなみひうち聴覚障がい者協会事務局長 青井 均(あおい ひとし)さん
デフリンピックが日本で開かれるのは今回が初めてなんです。しかも、ちょうどパリで始まってから100年の節目。その記念の年に開催されることを、とてもうれしく思います。私はスポーツが大好きなので、日本中でデフリンピックが盛り上がることが楽しみで仕方ありません。開催が待ち遠しいですね。
デフリンピックは、まだまだ知名度が高くありません。オリンピックは誰でも知っていますが、デフリンピックはやっと30%くらい。だからキャラバンカーで県内の市町を回り、地道にPRしてきました。理事会でもどうやってデフリンピックを広めていくかを話し合っています。

※きこえない、きこえにくい人のための国際的な総合スポーツ競技大会です。つまり、デフアスリートのための“オリンピック”ともいえる存在です。

・“音のないスポーツ”を知ってほしい
デフリンピックの競技は、音のない世界で行われます。スタートのピストル音もなく、みんな補聴器を外して公平に競技します。「音のない世界でスポーツをする選手たちがいる」ということを、まず知ってもらいたいです。そして、デフリンピックならではの工夫も合わせて見てもらえるとうれしいです。
“障がいがあるから無理”ではありません。きこえなくても、私たちはスポーツができるんです。きこえる、きこえない、関係なくお互いに応援し合えるようになれたらと思います。子どもの頃から、学校の授業などでデフリンピックを知る機会がもっと増えることを期待しています。

・できないではなく、“一緒にやってみよう”
大切なのは、“障がいがあるから無理”という考えをなくすことです。サッカーも、野球も、一緒に楽しめる。私たちはきこえませんが、手話や身振りで通じ合えるんです。大切なのは気持ち。勇気をもって声をかけてほしい。
そして最後に伝えたいのは、「私たちを特別視するのではなく、自然に見てほしい」ということ。当たり前にスポーツをしている姿を、普通のこととして見てもらえたら、私たちはとても幸せです。

スポーツには、笑顔も涙も、努力も感動も、すべて分かち合う力があります。
障がいのあるなしを超えて、一緒に楽しみ、応援し合える社会へ。
今治からその輪を少しずつ広げ、誰もが心からスポーツを楽しめるまちを目指していきましょう。