くらし (特集)昭和から令和へ受け継がれるもの

■昭和から令和へ 88年受け継がれる“まちの味”
令和8年、昭和元年(1926年)から数えて満100年を迎えます。戦争や災害など幾多の試練を乗り越え、人々が大きな変化と復興を遂げてきた昭和という時代。その歩みを振り返る中で、地域に根ざした営みの尊さが改めて感じられます。
今回は、昭和12年の創業以来、変わらぬ味で地域に愛され、まちの人々のお腹と心を満たしてきた、うどん店の白石朱美(あけみ)さんに、これまでの歩みや今後の抱負についてお話しを伺いました。

◇創業からの歩み
子供を多く授かった両親。外で働くことが難しかったことから、昭和12年にうどん店を始めました。三男六女の9人姉弟も手伝い、家族総出で店を切り盛りしてきました。24歳で嫁いだ朱美さんは、病院の栄養士として働いたのち、3人目の子どもを授かる前に退職し、義母のキクさんから教わりながら店を手伝うようになりました。2代目のご主人は7年前、66歳で亡くなりましたが、代々受け継がれてきた味と営みを今も守り続けています。

◇手延べで生み出す唯一無二の麺
白石うどんの特徴は、一般的な手打ちとは異なり、手で一本一本延ばす「手延べ」製法。生地をこねるのに4~5時間、麺を延べるのにさらに4~5時間、仕込みだけで約10時間を費やす手間ひまのかかる作業です。機械では出せない滑らかなのどごしとやわらかなコシを生み出すため手作業にこだわり、出汁はいりこ仕立てで、創業時から変わらぬ味を守り続けています。

◇変わるお客さんの姿
創業時から地域に親しまれ、昭和の時代には、働く人々が多く立ち寄っていたといいます。近年はコロナ禍が落ち着いた頃から外国人客が増え、今では来店客の半数を占めるほどに。特に韓国からの観光客が多く、「韓国のガイドブックに掲載されているらしい」と白石さん。日本らしい“おもてなし”をしようと提供したミカンがSNSで広まり、訪れる人がさらに増えたそうです。

◇受け継いだ味とおもてなしを胸に 創業100年へ前進
「私は元祖ではないので自信はありません」と、常にお客様の声を大切にし、昔と味が変わっていないかを確認することも。今後については「体力が続く限り今のやり方で続けたい。創業100年を目指してがんばります」と抱負を語ってくれました。
「帰省した方が食べに来てくれると本当にうれしい。お客さんの笑顔が励みです」と、受け継いできた味とおもてなしの心を胸に、これからも変わらぬ思いで店に立ち続けます。

令和8年は、昭和100年を記念して、昭和から令和にかけて受け継がれてきた味や技を取り上げる企画をお届けします。どうぞお楽しみに!