- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県大洲市
- 広報紙名 : 広報おおず 2025年12月号
はたご屋 霧中
宮岡真吾(しんご)さん
時間があれば県内をぶらぶらし、新しいお店や人との出会いを楽しむ。
気になったことはまず挑戦する好奇心あふれる39歳。
■大洲を知り、大洲を伝える
高校卒業後、職業能力開発大学校で機械設計や加工を学び、機械部品などの製造会社に9年間勤務。そのうち3年間は中国へ出向し、帰国後にはカナダで3カ月間の語学留学にも挑戦しました。海外で暮らす中で印象的だったのは、現地の人たちが自分のまちを誇りに思い、楽しそうに語っていたことです。一方で、大洲では「何もない」と言う人が多く、私自身も当時は大洲のことをよく知りませんでした。そこで「まずは大洲を知ろう」と調べてみると、美しい町並みや自然、文化や食など、多くの魅力があることに気づきました。気づいたからには行動しようと会社を退職し、大洲の魅力を伝えるために起業の準備を始めました。
まず、肱南地区の古民家を改装し、ゲストハウス「はたご屋霧中(むちゅう)」をオープン。宿はお客さんが旅の中で最も長く滞在する場所で、会話を通じて興味や関心を知ることができます。そこから「ここに行ってみませんか」と地域を紹介できるのが強みです。地域と人をつなぐ“ハブ”のような存在を目指しています。2022年11月にはピザ店「pizza house F.O.G(フォグ)」をオープン。実家の畑で採れた果物や「アグルビト」の仲間が育てた規格外の野菜も活用し、食品ロス削減や地産地消に取り組みながら、ピザを通じて大洲の野菜のおいしさを発信しています。
将来的には実家の農業を継ぎ、宿泊者が農業体験を楽しめるようにするのが目標です。現在はゲストハウスとピザ店の運営に加え、鵜飼船の船頭としても活動していて、今後は肱北地区にもゲストハウスを開き、地域と観光客がつながる新しいコミュニティを作りたいと考えています。若い世代、特に高校生には、大洲の魅力を知ったうえで外の世界に出てほしい。私たちがさまざまな働き方があると示すことで、将来の選択肢を広げてもらいたい。そして、いつか地元に戻ったとき、自らその魅力を発信してくれる人が増えることを願っています。
