講座 第5回 史跡弓削島荘遺跡探訪・散策講座

■重要文化財 定光寺観音堂 見学会
(1)第5回史跡弓削島荘遺跡探訪・散策講座 文化財建造物における修理技術を学んでみよう!
(2)令和7年11月24日(月・振替休日) 10:00~15:00
(3)学芸員と宮大工による修理技術の概要・意義の解説
(4)一般参加者数 39名

11月24日(月・振替休日)、弓削土生地区の定光寺において、第5回史跡弓削島荘遺跡探訪・散策講座として重要文化財定光寺観音堂見学会が行われました。
見学会では、「文化財建造物における修理技術を学んでみよう!」と題し、令和7年度に国指定文化財管理事業として縁板補修工事が行われている国指定重要文化財(建造物)「定光寺観音堂」において、工事に従事している宮大工が文化財建造物における修理技術の概要と意義を解説しました。

◇史跡に建つ重要文化財建造物
定光寺は国指定史跡弓削島荘遺跡の構成資産(史跡指定地)であり、その境内地が指定範囲となっています。境内に建つ定光寺観音堂は昭和52年に国の重要文化財に指定され、昭和54年から翌年にかけて解体修理工事が実施されました。修理の際、屋根野地板に「寛正四年八月三日」の墨書が確認されたことから、観音堂は室町時代中期の寛正4年(1463)の建立と推定されています。室町時代において、全国で建てられた小規模仏堂は耐用年限が短く、現存例は極めて少数です。当初材の残存状況が極めて良好である定光寺観音堂は建築史上において貴重な遺構です。

◇伝統的な木工技術
見学会は、8月からの縁板補修工事に従事している宮大工の全面的な協力により実現されました。縁板は先述の解体修理工事で復原されたものであり、雨水による経年劣化により破損・腐朽が進行していました。補修工事では、破損程度に応じて、取替、継木(つぎき)、矧木(はぎき)などによる補修を行います。継木や矧木は、ひとつの部材の中で破損・腐朽した部分のみを新材に置き換え、部材強度を考慮しながら良好な古材を残す工法です。

◇文化財建造物における修理技術を学んでみよう!
見学会の会場には昭和の解体修理工事で撮影された写真や竣工規矩図などの資料を展示しました。また、大工道具や参考資料として白鷹幸伯さん(鍛冶職人、松山市出身)が鍛造した和釘(わくぎ)・鎹(かすがい)などを陳列しました。観音堂の見学の合間には、宮大工の杉本幸亮さん(上島町岩城)と池田将敏さん(鳥取県倉吉市)による鉞(まさかり)や手斧(ちょうな)を使用して材木の側面を削り落とす「はつり」の実演が行われました。さらに、矧木の実演や「かんな掛け」の体験も実施され、参加者から「古くから続く技術のすばらしさがよくわかりました。」「次代への遺産の引き継ぎは、大変尊いお仕事ですね。」といった感想をいただきました。昭和の解体修理工事では、設計監理や工事施工関係者、さらには地域の多くの方々の協力により、定光寺観音堂を創建当初の姿に復原することができました。令和の時代も地域社会が一体となって、地域資源である史跡弓削島荘遺跡をはじめとした文化財を保存し、それらを地域づくりに活用することを推進します。次回の探訪・散策講座にもご期待ください。