- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県久留米市
- 広報紙名 : 広報くるめ 令和7年6月1日号
■災害から2年 竹野の今
令和5年の災害で大きな被害があった竹野校区。同校区まちづくり振興会長の中村誠治さん、副会長の矢野井史さんと、支援を続ける特定非営利活動法人YNFの吉田容豪さんに現状を聞きました。
◇実働的な防災体制へ
令和5年7月10日、9時15分頃に「ゴオオ」という音が響き、土石流が発生しました。耳納連山は、地元で「石山」と呼ばれ、頑丈だと思っている人が多く、前もって避難したのはわずか1人。道路が寸断される中、住民の安否確認や避難所開設に奔走しました。私たちがコミュニティセンターに集まれたのは夕方。校区で災害対策に取り組み始めた矢先の出来事でした。
災害を経験し、自主防災組織も実働的な体制に変更。自治会長、地域に住む防災士や防災リーダー・連絡係をチームにして、必ず情報が届くようにしました。ほかにも、配慮が必要な人の避難計画を立てたり、避難先として使える民間施設を探したり、自治会ごとに危険箇所マップを作成したりしています。日頃の道路愛護活動も、災害時を想定し、危険な枝や土砂を除きながら非常時に備えています。
前回は大丈夫だったエリアでも、局地的に雨が降れば危険と隣り合わせ。今後も地域をあげて防災意識を高め、住みやすく豊かな竹野を未来に残していきたいです。
◇息の長い被災者支援
私たちYNFは、平成29年の九州北部豪雨の被災者支援をきっかけに設立された、災害支援の専門団体です。泥出しなどの初期支援のみならず、生活再建までを見据え、中長期的に被災者に伴走しています。久留米での経験を生かし、能登半島でも活動する日々です。
竹野校区には災害発生直後から関わっています。今も被災世帯の住まいの再建に関する相談に乗ったり、福祉的な課題を抱える世帯をフォローしたりしています。昨年夏からは、被害が大きかった三明寺地区の公民館でランチ会を毎月開催。被災した人たちの交流の場になっています。
ほかにも、住民と一緒に危険箇所の洗い出しや、区長や班長と一緒に各世帯を訪問し、避難への不安なども調査しました。前回の災害支援が終わっていない今、新たな被災者を生まないよう、避難を呼びかけ合える地域づくりを手伝っていきたいです。
◇竹野から災害の教訓
災害を経て、竹野校区が今伝えたいことをまとめました
(1)多くの人に防災対策に関わってもらう
(2)避難所にたどり着けない状況も想定しておく
(3)避難所やコミセンが使えない場合を想定する
(4)民間施設を含め、地域ぐるみで対策を練る
(5)日頃の地域活動に防災の視点を加える
■治水対策が進む
市は、浸水被害を軽減するため、令和4年度から「流域治水推進プロジェクト」を進めています。久留米大学グラウンドなど雨水貯留施設の整備や、篠山排水ポンプ場のポンプを増設。水田で雨水をためる「田んぼダム」も市内各地で行っています。これにより、貯留機能が令和3年度に比べ約4.4倍に。市民や企業と協働で、排水路のしゅんせつや土のう作りも行っています。ハード・ソフト両面で備えが進んでいますが、油断せず早めの避難が大切です
◇福岡県の事業
県は、金丸川・池町川流域で地下調節池や放水路、排水機場などを整備しています
◇国の事業
国は、令和5年大雨で氾濫した巨瀬川の河道掘削や堤防の改修を進めています
◎災害の様子や治水対策を動画で
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■レポート
◇中学生が避難所開設訓練に参加
5月11日、竹野小で避難所の開設訓練が行われ、田主丸中の生徒6人が参加しました。生徒は、避難者の誘導や物資の受け入れなど、地域住民と一緒に本番さながらに実施。受付を担当した平木陽子さん(3年)は「自分が避難したときも、今日の経験を生かしてできることを手伝いたい」と話しました
問い合わせ先:防災対策課
【電話】0942-30-9074
【FAX】0942-30-9712