くらし 令和6年度 直方市決算要点紹介(2)

■CHECK3 他の市と比較すると最近の傾向は
一部改善はしているが、依然厳しい状況

客観的に財政を比較、判断できる各指標は次のとおりです。「経常収支比率」は94・1パーセントで、前年度から4・8ポイント改善しています。しかし、一般的に70〜80パーセントが適正水準とされており、依然として高い水準です。
これは市が自由に使える財源のほとんどが経常的な経費に充てられ、それ以外の臨時的な事業に財源が使えない(財政が硬直化している)ことを示しています。
財政力の強さを示す「財政力指数」は、0.56となっています。市の借金返済に係る財政負担の度合いを見る「実質公債費比率」は、前年度から0.5ポイント悪化し7.3パーセントとなっています。
市が将来負担すべき負債の度合いを見る「将来負担比率」は、前年度から6.1ポイント悪化し41.3パーセントとなっています。
市の財政指標を福岡県内の他の市と比較すると、経常収支比率は前ページのグラフ(5)のように平均より高く、「財政の硬直化は進行」、財政力指数は前ページのグラフ(6)のように平均よりやや劣り、「財政力は弱め」、実質公債費比率、将来負担比率については前ページのグラフ(7)、(8)のように平均より高く、「将来の負担は大きめ」ということになります。

経常収支比率他市との比較 グラフ(5)

経常収支比率…
自由に使え、経常的に見込める収入(市税、普通交付税等)に対し、使い道が決まった経常的な支出(人件費、借金返済費、扶助費等)の割合を示します。前年度に比べ4.8ポイント改善しました。

財政力指数3か年平均他市との比較 グラフ(6)

財政力指数3か年平均…
一般的に必要な経費に占める自前での財源調達の割合を示すものです。この数値が1に近い、あるいは1を超えるほど、市が自ら調達できる財源の割合が高く、財政力が強いことを示します。前年度に比べ0.01ポイント改善しました。

実質公債費比率3か年平均他市との比較 グラフ(7)

実質公債費比率3か年平均…
市の公債費(借金返済に充てる費用)の財政負担の割合を示す指標です。下水道事業や水道事業等全ての事業を含む公債費の割合です。18パーセントを超えると、市債発行時に国の許可が必要になります。前年度に比べ、0.5ポイント悪化しました。

将来負担比率他市との比較 グラフ(8)

将来負担比率…
将来一般会計で負担することが見込まれる金額の標準財政規模に対する割合を示したものです。市だけでなく、市が出資している第3セクター等に対する負担も含みます。350パーセントを超えると財政健全化計画の策定が必要です。前年度に比べ、6.1ポイント悪化しました。

■CHECK4 財政健全化法での判断指標について
早期健全化団体にならないよう今後も適切な財政運営を

「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、地方公共団体の財政状況を判断する4つの指標の公表が義務付けられています。
これまでの「地方財政再建促進特別措置法」では、財政悪化の兆候が市民にわかりにくく、気づいたときには手遅れとなっていたため、早期に財政状況を把握しやすくするために整備された法律です。
この法律で、判断の基準となる指標は、表(2)の4項目です。本市の数値が、このうち1つでも早期健全化基準を超えた場合には、改善するための財政健全化計画を策定し、財政の健全化を図っていかなければなりません。
また、いずれかの数値が財政再生基準を超過した場合には、より厳しい財政再生計画を策定し、国の関与下での改善が行われ、自主的な財政運営が著しく制限されます。
令和6年度決算では、福岡県内で「早期健全化団体」「財政再生団体」に該当する市町村はなく、本市も該当していません。

(1)実質赤字比率
標準財政規模(通常収入されると考えられる経常的な一般財源の規模)に対する、普通会計の赤字の割合です。
市の令和6年度決算は赤字決算でないため、指標としては「なし」となります。

(2)連結実質赤字比率
普通会計以外の特別会計や公営企業会計(国民健康保険事業、介護保険事業など)を含めた、直方市全体の赤字額の標準財政規模に占める割合です。
(1)と同じく赤字決算となっておらず、指標としては「なし」となります。

(3)実質公債費比率
市の借金返済による財政負担の度合いを見るための指標で、一般会計だけでなく、公営企業会計や一部事務組合などの公債費に使われた負担金なども含めて算定します。
直近3年間の平均で見るものとされ、表(2)の数字は令和4年度〜令和6年度決算による平均です。
この比率が高いということは、収入の多くを借金の返済に充てていることとなり、他の事業に予算が回せなくなっています。

(4)将来負担比率
一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する比率です。将来の財政運営を圧迫する恐れがあるかどうかを見るための指標で、これが350パーセントを超えると早期健全化団体となります。

問合せ:財政課
【電話】25-2231