くらし 医療 あれこれ

〔テーマ〕薬の負担どう減らす?ポリファーマシーと残薬について
飯塚市立病院 薬剤室
室長 山下(やました) 崇(たかし)

ポリファーマシーとは、「Poly(多くの)」+「Pharmacy(調剤)」の造語で、一般的に6種類以上のお薬が処方されている場合によく使われる言葉です。高齢者では複数の病気にかかるリスクが高まるため、処方されているお薬が多くなる傾向にあります。特に75歳以上の患者さんでは、約4人に1人が7種類以上の薬剤を処方されているという報告もあります。
ポリファーマシーの問題点は、主に医療費の高騰や薬物有害事象の発生頻度増加、さらには残薬の増加にあります。薬物有害事象とは、薬の服用によって引き起こされる意図しない症状や副作用のことを指します。
残薬の問題点は、近年、高齢者の自宅から大量の薬が見つかる事例が増えており、多種類が処方されたことに起因して、必要な薬をきちんと服用できず、症状が悪化、さらなる薬が処方されるという悪循環が報告されています。厚生労働省によると、75歳以上の患者における残薬の年間総額は約475億円に達しており、これは医療費の高騰の原因にもなっています。

●ポリファーマシー・残薬に対する対策
○お薬手帳を活用しましょう
お薬手帳は、自分の服用しているお薬の情報、アレルギー情報、過去の病歴などを記録しておくための大切なツールです。医療機関を受診する際や薬局に行く際は必ず携帯し、医師や薬剤師に提示しましょう。

○複数の医療機関を受診する際は、お薬手帳を1冊にまとめましょう
複数の医療機関にかかっている場合、それぞれの医療機関で別々の手帳を使用していると、処方内容が重複したり、必要な情報が共有されない可能性があります。

○薬剤師に相談しましょう
薬の服用方法や副作用について不安がある場合は、薬剤師に相談しましょう。薬剤師は、お薬に関する専門知識を有しており、適切なアドバイスをしてくれます。

処方されているお薬で飲み忘れることが多い、飲みづらい、お薬が自宅に余っているなどお困りのことがある場合やお薬のことで不明な点がある場合は、医師または薬剤師までご相談ください。

※飯塚市立病院よりお願い
・初診の方は、かかりつけ医より紹介状を持参していただくようお願いします。
・正確な薬剤情報や特定健診情報を取得・活用することができる、マイナ保険証の利用にご協力をお願いいたします。