- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県田川市
- 広報紙名 : 広報たがわ 令和8年2月1日号
本市が目指す共生社会の実現。その担い手を育てるため、共生社会の先進国であるドイツに中学生14人を3期生として派遣しました。
生徒たちの学びと成長の軌跡を紹介します。
■共生社会の実現へ向けて
本市は、東京2020パラリンピック競技大会の事前キャンプの誘致を機に、誰もが自分らしく生きることができる社会の実現を目指しています。市政の要である「田川市第6次総合計画」では、重点プロジェクトのひとつとして「共生社会の実現」を掲げ、パラスポーツの振興や心のバリアフリーの浸透など、さまざまな施策に力を入れています。
「田川市中学生海外派遣事業」もそのひとつで、国際感覚や多様性に対する感覚を身につけた共生社会実現の担い手を育成することを目的とした事業です。さまざまなものを感じて吸収することができる「中学2年生」という時期に、共生社会の先進国である「ドイツ」で学んでもらうため、市内在住の中学2年生を対象に希望者を募集。厳正な選考で選ばれた14人が3期生としてドイツに赴きました。「ドイツで学んできた先輩の話を聞いて決意した」「子どもに貴重な経験をしてほしい」「親として挑戦を後押ししたい」という声が多く、回を重ねるたびに生徒や保護者の意欲や関心が高まっています。
■「インクルージョン」の最前線へ
派遣期間は11月3日〜10日で、生徒たちは約5日間にわたりドイツに滞在。今回初となるブレーメン市を中心に、ベルリン市・ハンブルク市を巡り、それぞれの歴史や文化、共生社会に向けた取り組みなどを学びました。生徒たちは、移動中や見学中など、さまざまな場面で障がいや言語の違いなどへの配慮を発見。街中の細部から人々の心や行動までバリアフリーが浸透していることを肌で感じました。
一連のプログラムの中で重要なキーワードとなったものが「インクルージョン(包摂(ほうせつ))」です。インクルージョンは「多様な人々を排除せずに全員を包み込み、個々の力をいかす」という考え方・手段のこと。インクルージョンを社会のあらゆる場面(学校・職場・地域など)で徹底することで、共生社会という「社会の状態」が形成されていくのです。
生徒たちがインクルージョンの最前線を巡る中で、特に印象深かった経験は、オーバーシューレ学校の見学や、ドイツ山岳協会でのクライミング体験。共通していることは、障がいなどを含む多様な違いを当たり前のものと捉え、誰もが同じ空間・同じ環境で学び、互いに支え合ったり意見を交わしたりしながら個々が活躍できているという点です。多様な違いに応じた配慮ができるよう「特別な空間・特別な環境」を設けるという日本の社会と大きく異なる考え方に、生徒たちは感銘を受けていました。
(1)市役所での出発式。期待と不安を胸に、いざドイツへ!
(2)ベルリンの壁をはじめ戦争と対立の歴史が残るベルリン市内を見学
(3)ベルリン市を象徴するブランデンブルク門
(4)(5)ブレーメン市内を見学。有名な「ブレーメンの音楽隊」の像に出会えました
(6)行く先々でドイツならではのグルメに舌鼓(7)荘厳なハンブルク市庁舎を背にパチリ
(8)(9)(10)(11)オーバーシューレ学校では、障がいの有無に関係なく誰もが同じ教室で授業を受けていました。授業に参加したり料理を作ったりして交流を深めることができました(12)ドイツ連邦青年協議会の若者たちと意見交換(13)(14)ブレーメン州障がい者委員会では、州のインクルージョンの現状や取り組みについて学びました。
※写真は本紙2~3ページをご覧ください
◆街なかで発見! バリアフリー
横断歩道で、信号が青になったことを音だけではなく「振動」で伝える仕組みを発見。空港では障がいがある人やベビーカーを押す人専用のレーンが設けられていました。
■私たちの思いを一冊の報告資料にまとめました。その一部を紹介します!(1)
※敬称略
◇理解しようとする気持ちが大切
嘉穂高附属 今城 和己(いまじょう かずき)
障がいは「不可能」ではなく「サポートがあれば実現できる可能性」なのだと実感。そのために、お互いを理解しようとする気持ちが大切なのだとわかりました。
◇人との関わりの中で視野が広がった
猪位金 岩崎 紗奈(いわさき さな)
共生社会の実現に取り組んでいるドイツの青年たちと意見交換。色々な人の考えを聞くことで、自分自身の視野を広げることができました。
◇いつでも課題感を猪位金持って取り組もう
田川東 柏木 綺姫(かしわぎ きら)
ブレーメン市は、ドイツ国内でのインクルージョン率が1位!そんな都市でも、不便さを感じる部分もあり、課題に取り組み続けている現実を知ることができました。
◇同世代のみんなと笑いあった日々
田川西 木村 衡士(きむら こうし)
一緒に料理をしたり、クライミングに挑戦したり、おなかを抱えるくらい笑いあったり。言葉の違いや障がいの有無に関係なく、同世代のみんなと交流できて嬉しかった!
◇インクルージョンを日本に広めたい
田川東 佐藤 絢菜(さとう じゅんな)
ドイツで学んだことで、自分の心が成長したことを感じました。これからはボランティア活動などに取り組んで日本にインクルージョンを広めることが私の目標です。
◇一緒に過ごすからこそわかり合える
田川東 台野 利奈(だいの りな)
障がいの有無に関わらず、一緒に授業を受ける。言葉が違っても一緒に生活する。そうして一緒に過ごすことで、わかり合えていくのだということを実感できました。
