- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県田川市
- 広報紙名 : 広報たがわ 令和8年2月1日号
■濃密な「人との関わり」
ホームステイも、異文化や言語の壁・心の壁を越えるための重要なプログラムです。今回は短い滞在期間で交流を深められるよう、大半の行程をホストファミリーと一緒に行動するという初の試みを実施。共に生活し・共に学ぶという濃密な関わりは、言語だけではなく心の壁を越える大きな支えになりました。生徒たちは、研修で学んだドイツ語や英語などを駆使して思いを伝える方法を試行錯誤。しかし何より嬉(うれ)しかったことは、言語を使わなくても、お互いに「気持ちがわかる!伝わっている!」と感じる瞬間であったそうです。そうして心を通わせながら、本当の家族のように接してくれるホストファミリーの温かさ、細やかな配慮に感動する日々を過ごしました。一緒に食事をしながら談笑し、ゲームや観光・買い物などを楽しんで、気づけばあっという間に最終日。お別れのときは、お互いに涙を浮かべながら再会を約束し、帰国後も連絡を取り合うなど交流が続いています。
■芽生えた思いを紡いでいこう
帰国した生徒たちは、学んだことや楽しかった思い出、感謝の言葉などを家族に伝え、生徒と保護者それぞれが感想文に思いをつづりました。また、事後研修で報告資料を作成し、12月20日の事後報告会に臨みました。当日は、生徒代表の德永さん(写真(20))と村上さん(写真(21))・保護者代表の今城さん(写真(22))と台野さん(写真(23))が感想文を発表。続いて、班ごとの研修内容の発表では、現地で撮影した写真とともにプレゼンテーションを披露しました。気づきや学び、印象深かったこと、ドイツにおける共生社会やインクルージョンの在り方などを伝え、学んだことを今後の生活や将来にいかしたいと語る生徒たちに、会場からは大きな拍手が送られました。
生徒たちの成長した姿を目の当たりにした村上(むらかみ)市長(写真(24))は「共生社会を推進する一員として、田川市を引っ張っていく存在として、今後の活躍を期待しています」と激励。市議会の陸田(りくた)議長(写真(25))も「デジタル化やAIの普及が進む時代だからこそ、実際に現地で直接会って人と触れあうことでしか得られない経験は、かけがえのないものです。みなさんの人間力を高める上で、とても価値のある財産になったことでしょう」とエールを送りました。
今回の中学生海外派遣事業をとおして「考え方が大きく変わった」「相手を理解し、寄り添えるようになりたい」「日本にインクルージョンを伝えたい」「今後も色々な立場の人と関わっていきたい」など、さまざまな思いが芽生えた生徒たち。現在は、それぞれの中学校で活躍しつつ、報告会などの機会をとおして学びを伝え、後進への道を開いています。
市では、今回の派遣が一過性のものではなく、共生社会の実現を後押しする取り組みとなるよう、これまでの派遣修了者を含め、共生社会に関する事業などに参加できるよう、引き続き連携を深めていきます。
共生社会実現への道のりは、これからも続きます。市民のみなさんのご理解とご協力、そして学びや体験の機会への積極的な参加をよろしくお願いします。
(15)(16)ドイツ山岳協会ブレーメン支部では、障がいの有無に関係なく協力しながら一緒に練習しています。全身まひの人がサポートを受けながら頂上まで登る姿に感動。生徒たちもアドバイスを受けながらクライミングに挑戦しました
(17)ホストファミリーとの対面式。どの家族も温かくきめ細やかにサポートしてくれて、生徒たちにとって忘れがたい経験となりました。
(18)(19)スペシャルオリンピックスブレーメン支部では、知的障がい者のみなさんと一緒にハンドボールの試合で交流しました。
※写真は本紙4~5ページをご覧ください
■私たちの思いを一冊の報告資料にまとめました。その一部を紹介します!(2)
※敬称略
◇インクルージョンの本質とは何か
田川東 垰田 寧々(たおだ ねね)
障がいの有無に関わらず全員が同じ授業を受けていて驚きました。また「排除とはインクルージョンの陰である(包摂から漏れる=排除)」という言葉が印象深かったです。
◇さまざまな立場の人が取り組んでいた
田川西 椿 剛毅(つばき ごうき)
人生初の経験の連続でした!インクルージョンを達成できるように、さまざまな立場の人が考え、取り組んでいることを実感。戦争と平和について学ぶ機会にもなりました。
◇大切なのは「排除」をしないこと
猪位金 德永 葵(とくなが あおい)
「障がいがあるから全面的な手助けが必要」という自身の考えが誤っていたことを実感。偏った考えで「排除」をしないことが共生社会には必要なのだとわかりました。
◇壁を越えた先にたくさんの学びがある
嘉穂高附属 長岡 凛(ながおか りん)
言語や障がいなど「違い」や「壁」は乗り越えられる。その先で、もっとたくさんのことを感じたり学んだりできるということを実感させられた、長くて短い8日間でした。
◇将来の夢を変えたドイツでの学び
香春思永館 中島 乙寧(なかしま おとね)
将来の夢が「メイクアップアーティスト」から大きく変化。障がいの有無に関わらず「どんな人でもステージで輝けるコレクションを主催する」ことが新たな夢になりました。
◇素敵な経験と思い出が残ったから
猪位金 野村 奈々(のむら なな)
ドイツで共生社会を学びながら、ホストファミリーの温かさを感じた8日間。自身が成長でき、素敵な経験と思い出が残ったからこそ、今は少し寂しさも感じています。
◇驚きと感動をみんなに伝えていきたい
田川西 浜 敬翔(はま けいと)
ドイツの歴史的な美しい景観に感動。「障がいがある人」という認識を持つこと自体が、インクルージョンに反するという矛盾が起きてしまう事実にも驚きました。
◇思い込みや偏見に惑わされない心
田川西 村上 杏奈(むらかみ あんな)
ドイツでは、当たり前に人々が支え合うように社会が進んでいると感じました。私も思い込みや偏見に惑わされることなく、心の壁を取り払って人と関わっていきたいです。
