文化 文化薫道(ぶんかくんどう) 〜文化の風が吹くまち ちくしの〜

■其の百十二
はるかかなた黄泉(よみ)の国(くに)へ~五郎山古墳(ごろうやまこふん)の壁画(へきが)~

令和7年度の文化薫道は、皆さんの目をひくような文化財の絵や形、色をテーマに、1年間お届けします。
皆さんは、市内原田の市街地にたたずむ装飾古墳、五郎山古墳をご存じですか。装飾古墳は、古墳の中の埋葬施設(石室)に文様を彫ったり彩色したりしたもので、全国でも福岡県と熊本県以外には数少ない、珍しい古墳です。
その一つである五郎山古墳は、この地域一帯を治めた豪族の墓と考えられています。石室には赤・緑・黒の3色で、人物や動物、船などの具体的なモチーフが、物語を表しているかのように描かれています。その中でも一際目立つものが、古墳時代の外洋航海船の特徴をもつ「船」です。なぜ海と接していない筑紫野市に、航海船が描かれたのでしょうか。
描いた人は、被葬者の魂が夜空に輝く星の下、船で黄泉の国(あの世)へ向かうことを祈りました。はるかかなたの世界へ行くには、外洋航海船が必要だと考えたのでしょう。このような死後の世界観が、ここには込められているのです。
現在、古墳の中には入れませんが、五郎山古墳館の実物大石室模型で、その世界観を感じてみませんか。

問合せ:文化財課