くらし 障がい者としての生き方ではなく私としての生き方

12月3日〜9日は障がい者週間です

精神障がいと聞くとどのようなイメージを持っていますか?
これまでの人生で接点がなかった人にとっては、刑事事件を連想したり、想像のつかない恐ろしいものと感じたりするかもしれません。精神疾患自体は怖いものかもしれませんが、その疾患を抱える人が怖いわけではありません。
近年、精神疾患にかかる人は増加傾向にあり、厚生労働省によると、生涯を通じて5人に1人は何かしらのこころの病気にかかるといわれています。また、精神疾患は5大疾病の一つとも言われており、特別な人がかかるものではなく、ストレスなどが積み重なることがきっかけとなって、誰でもかかる可能性があります。
今回は、精神障がいを抱えながら地域で生活している人に、自身の病気や生活のことなど話を聞いてみました。

◆吉良順治(きらじゅんじ)さん 59歳
私は統合失調症で、15年前に初めて病院にかかりました。幻覚や幻聴が聞こえて、不思議な感じがします。頭の中で私が知らないことを話してくるんです。この病気は自分が黙っていたら人にはわかりません。症状を抑えるために薬を飲んでいますが、その副作用で体が震えてしまいます。だから、理髪店や歯科医院に行くときは、切られてしまいそうで怖いです。日中は作業所に通って、ナプキンのクリーニングをしたり、自動車の部品を作ったりしています。普段は、趣味である将棋や麻雀をして過ごしています。社会に対しては、もっと障がい者に優しく接してもらいたいなと思っています。

◆加藤大志朗(かとうだいしろう)さん 63歳
今のグループホームでの暮らしで困っていることはありません。アンテナショップでの買いものやお酒を飲むことが好きです。

◆西口浅信(にしぐちあさのぶ)さん 65歳
月に1回通院の時に天神でラーメンを食べるのが楽しみです。魚釣りも好きで昔はよく行っていました。

◆藤本孝広(ふじもとたかひろ)さん 51歳
私は統合失調症で重度障がいと言われています。若い頃は土木の仕事をしていました。最近はYouTubeで演歌を鑑賞することが好きです。

■地域の中で、自分らしく
精神障がいをもつ人が 暮らしているグループホームの管理者に話を聞きました。
・代表理事 大山和宏(おおやまかずひろ)さん
・統括責任者 殿﨑真未(とのさきまみ)さん
一般社団法人えのき舎:太宰府市・筑紫野市で、障がい福祉のグループホームや就労継続支援B型作業所を複数運営しており、主に精神障がい者への支援を行っている。

精神障がいがあっても、一般の人と同じで、ひっそりと生活したい人もいれば、どんどん社会に出ていきたい人もいます。障がいがあっても、人生を楽しむことは大切なことです。私たちは、一人一人の思いや希望、生き方を大切にした〝かかわり〞を心がけています。主人公は、利用者本人です。
私たちのグループホームは、地域の一員として積極的に地域活動に参加しています。クリーンデーや餅つき大会、祭りなどにも毎年参加するなど、地域の人たちとの交流を深めています。こうした活動を通じて顔見知りとなり、野菜のお裾分けをもらうなど温かい近所付き合いが生まれ、地域に受け入れられていることを実感し、大変嬉しく思っています。
私たちは、障がいを持つ人の「その人らしい生き方」を最優先に考えます。病状の安定とともに自立心が育まれ、一般就職やアパートでの一人暮らしを選ぶ人もいれば、グループホームでの生活を続ける人もいます。大切なのは、画一的な「障がい者としての生き方」ではなく、個々の価値観に基づく自由な選択です。すべての利用者が地域の中で、自分らしくいられるように支えています。

▽インタビューを終えて
相手のことを完全に理解することはできなくても、障がいのことを知り、相手の立場にたって考えてみることはできます。障がいは形あるものではなく、一人一人の心の中で作っている壁であって、考え方を変えるだけで取り除ける部分もあると思います。誰もが生きやすい地域づくりの第一歩として、お互いに歩み寄れるように挨拶から始めてみませんか。

■障がいに関する相談をどこにしたらよいかわからないときの相談窓口
・「つなぐ窓口」
電話相談:0120-262-701
午前10時から午後5時まで(祝日・年末年始除く)

■障がいのある人やその家族、関係者の相談窓口
・「障がい者基幹相談支援センター」
電話番号:092-921-2121(代表)
FAX:092-925-0294
平日午前8時30分から午後5時まで

・「障がい福祉ほっとライン」
電話番号:0120-0874-86
FAX:0834-32-8630
平日午後5時から翌午前8時30分、土日祝日・年末年始は24時間対応

問い合わせ:福祉課 障がい福祉係
【電話】内線324
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