その他 点描 編集後記

・1年前から物置に花火のセットがある。昨年の夏の終わりに帰省を予定し、花火の好きな父を喜ばせるつもりで準備したものだった。出不精になった父も「花火」で誘うと、水を張ったバケツとろうそくを持ってわざと面倒なのかうれしいのか分からないしぐさでゆるりと庭に出て来た。線香花火が好きで、火玉が早々に落ちると声に出して残念がるところが子どものようだった。帰省前に父は突然逝ってしまい、家に花火だけが残った。「もう少し早く帰っていれば最後にもう一回、一緒に花火ができたな」物置を開けるたびに胸がギュッとなる。
・今年は秋が遅く10月まで夏の暑さが続く予報らしい。間に合わなかった夏の続きに、去年の花火を持って実家に帰ろうか。
(友杉)