- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県宮若市
- 広報紙名 : 広報みやわか「宮若生活」 No.239 2025年12月号
私たちはこれから先、外国人とどう向き合うべきなのか
近頃、SNS上では外国人排除を訴える声が広がり、各地で反対運動やヘイトスピーチが行われるなど、地域社会に不安を生む事態が起こっています。
遠いどこかの出来事のように見えて、私たちの日常とも無関係ではありません。
自転車で通勤する外国人の姿を見かけたとき、「外国人、増えたな」「最近よく見るな」と、感じる人は多いのではないでしょうか。
特集『ともに生きる』では、このまちでどんな変化が起きているのか。私たちは何ができるのか。
12月からの人権週間と合わせて、皆さんと考えていきます。
◆宮若Data
宮若市の人口、外国人の人数と割合
※各年、1月1日時点の数値です。


◆〔SECTION1 ともに暮らす〕生まれた場所が違うだけで、同じ人間、同じ宮若市民です
有吉 幸一(ありよし こういち)さん
外国人住民が増えている宮若市。文化や言葉の違いに戸惑う人もいるなか、娘の結婚をきっかけに外国人を家族として迎えた有吉幸一さん。共に暮らす未来へ向け、地域社会が外国人にどう寄り添っていくのか。そのヒントが、この家族の物語にありました。
◇変化した外国人への認識と地域への参加
「娘が外国の人(オルソン)と結婚すると聞いたときは少し驚きましたが、反対の気持ちは全くありませんでした。私自身、若い時から洋楽を聞いていたこともあり、海外に対する偏見がなかったせいなのかもしれません。初めてオルソンと会ったときの第一印象は、『身長が高くてでかいな』くらいのものでしたよ。
実際に彼と接する中で、文化や考え方の違いを感じることはもちろんありますが、逆に『思っていたよりも同じだな』と感じることも多々あります。彼は箸をちゃんと使いますし、日本のことを理解しようという姿勢が目に見えます。私自身、昔から海外に憧れていたこともあり、こうやって直接関われたのは良い経験になっています。
娘夫婦が宮若で生活していく中で、周囲の人々の中には、最初は心の中で『怖い』といった感情があったかもしれません。しかし、オルソン自身が積極的に色んなイベントやまちづくりに携わっているため、変な目で見る人はもういないと思います。
以前、娘とオルソンの二人でまちづくり委員会に参加もしていたんですよ。そういうところを見ると、本当にこの宮若が大好きなんだということが伝わってきます。地域活動に外国の人が加わることは、普段関わりがない人たちにとって、お互いを知る機会になっていると思いますし、いい刺激にもなっていると思いますよ」。
◇共存するまちへ お互いを知ることの大切さ
「宮若でも外国人が増える中で、彼らがまちづくりに携わろうとしているのなら、私たちからもできるかぎりの支援や協力が必要だと思います。そうすることで、お互いにとって、よりよいまちになると思います。
『外国人は少し怖い』『接し方が分からない』と感じる人に、私の経験から言えるのは、海外の文化に触れてみることです。そうすることで、外国というものを身近に感じるようになり、偏見がなくなっていくと思うんですよね。本当は直接しゃべるのが一番ですが、それが難しい人は、文化に触れる。それだけでも十分です。
最近よく聞く外国人差別に対して私が言いたいのは、ただ生まれた場所が違うだけで、私たちは同じ人間、そして同じ宮若市民だということ。外国の人からしたら私たちも外国人ですし、『外国人だからこう』みたいな決めつけは絶対してはいけない。これからの社会は、本当に共存が不可欠です。文化の違いはあれど、お互いのことを知り尊重する。最初からダメと決めつけてはいけません。思いやりをもって接することが大切です。
私たちが住むこの宮若が、『誰もが安心して楽しく暮らすことができる』そんなまちになっていけば、私も本当にうれしいですね」。
◇有吉 幸一(ありよし こういち)
千石地区在住。76歳。趣味は洋楽を聴くこと。好きな言葉は『ご縁に感謝』。
◇宮若の未来をともに考える まちづくり委員会
まちづくり委員会とは、非常勤特別職の公務員として、2年間の任期の中で、市の現状や課題を整理し、宮若市をより良いまちにするために、調査研究を行う組織です。
過去には高齢者の見守り事業に、郵便局や新聞販売店などの事業所が協力する必要を提案し、実現しました。ほかにも、目にとまりやすい特産品の開発を目的に、パッケージデザインを刷新し、福岡市内でテスト販売を行いました。
写真は、まちづくり委員会に参加したオルソンさんです。
