- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県宮若市
- 広報紙名 : 広報みやわか「宮若生活」 No.239 2025年12月号
◆〔SECTION2 ともに学ぶ〕宮若で学んできたからこそ、高校に進学したいと思った
KAHN TIMOOR(カーン タイムール)さん
私たちが見慣れたまちも、外から来た人にはまったく違う表情を見せます。日本に来て三年目のカーンさんは、このまちの良さや温かさを身をもって実感していました。彼の語りから、宮若の魅力、そして共生への一歩を探ります。
◇宮若で見つけた大切なもの
パキスタンから宮若へ。異国のまちでの三年間は、カーンさんにとって、驚きや発見、たくさんの出会いに満ちていました。そんな彼が、宮若で感じたことをゆっくり話してくれました。
「宮若に来てまず驚いたのは、『まちのきれいさ』でした。僕がいたパキスタンのイスラマバードには、ごみの分別という習慣がありません。でも宮若ではルールがしっかりしていて、初めて来た時は、『なんてきれいな場所なんだ』って思いましたね。
『きれいさ』以外にも気づいたことがあります。それは、みんなが優しいということです。学校に行ったその日から、クラスメートや先生が優しく話しかけてくれました。日本語が分からない僕に、ゆっくり説明してくれたり、身ぶり手ぶりで伝えてくれたりして、本当に助けられました。
宮若東中学校で過ごした三年間には、忘れられない思い出がたくさんあります。修学旅行で見た金閣寺は、写真とはまるで違う迫力で、すごくきれいでした。合唱コンクールでは、クラスのみんなと練習して、金賞を取ることができました。友だちと過ごした日々は、僕にとって大切な宝物です。
こうした経験の中で、『もっと日本語を勉強したい』『もっと友だちと話したい』という気持ちが大きくなり、中学卒業後は高校に進学したいと思うようになりました。今は、高校受験に向けて勉強に励んでいます。そして、将来は車や機械のことも学びたいですね。父が車に関わる仕事をしているので、いつか手伝えるようになりたいんです」。
◇みんなと仲良くなるために
「みんなと仲良くなるには、お互いが怖がらずに一歩近づくことが大事だと思います。最初は『ちょっと怖いな』『話しかけづらいな』と思うこともあるかもしれません。でも、実際に話してみると、『あれ?全然怖くない』ってなることがありますよね。少し近づいてみると、相手の表情や声の感じが分かって、心の中の不安が少しずつ消えていきます。怖がっているだけでは、話しかけることすらできません。話さないと仲良くなれないし、お互いに『怖いまま』なんです。
少しだけ勇気を出して話すこと、遊ぶこと、学ぶこと。そんな小さな積み重ねが、自然と心の距離を縮めてくれるんだと思います。実際に僕が勇気を出して話しかけたことで、仲良くなれた人もいます。踏み出した一歩が小さくても、思っている以上に大きなつながりになるはずです」。
◇KAHN TIMOOR(カーン タイムール)
宮若東中学校3年生。パキスタンのイスラマバード出身。3年前に宮若に移り住む。当時、中学3年生の年齢であったが、日本語を勉強するため、中学1年生に編入し、勉強に励む。好きな日本語は『ありがとうございます』。
◇教えて、○○先生 市内の小中学校で働くALT
ALT(外国語指導助手)とは、英語を母国語とする人が日本の小中学校などで英語の授業をサポートする職業のことです。
市内小中学校には、5人のALTがいますが、今回はその中から3人の先生に、文化や言葉が違う人同士が仲良くなる方法を伺いました。
・オーストラリア出身のマイケル先生。「仲良くなるにはまず相手のことを知る。食べ物の好き嫌い、おすすめの漫画など。そうすると自然に話が広がり、いつの間にか仲良くなる」と、話します。
・フランス出身のメディ先生。「コミュニケーションは一つじゃない。言葉が通じなくても大丈夫です。スポーツなどを一緒にするだけで、その人とのコミュニケーションになる」と、話します。
・フィリピン出身のロウエナ先生。「スーパーなどで、すれ違う時にあいさつするだけでもいいんです。声をかけられて嫌な人はいない。一歩踏み出して話をすれば、もうお友達です」と、話します。
◇みんなが安心して暮らせるまちに 人権問題地域懇談会
10月23日から11月18日にかけて、市内5カ所で人権問題地域懇談会を行いました。
講師は、日本語教室やこども食堂を運営するNPO法人育ちと学びの応援団の赤星映子さん。『みんなが安心して暮らせるまちに』と題して、講演が行われました。
講演では、日本語教室の役割や目的、どういった人が学びに来ているかなどを赤星さんが説明。その後、日本語教室で学ぶみなさんの声として、カーンさんらが登壇し、宮若の良いところ、好きなところなどを日本語で発表しました。
