- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県宮若市
- 広報紙名 : 広報みやわか「宮若生活」 No.239 2025年12月号
◆〔SECTION3 ともに働く〕宮若で働く意味、働きたい理由
高齢化が進む宮若では、介護現場を支える外国人技能実習生の存在が大きくなっています。受け入れる側の職員の思いと、実習生が語る本音を通して、文化を超えて支え合う職場づくりの今に迫ります。
◇人手不足の課題を乗り越えて 支え合う職場づくりへ
「当施設が外国人技能実習生の受け入れを始めたきっかけは、人手不足が続く中で、これからの国際社会を見据えた判断でした。現在は四名の実習生が働いています。受け入れにあたり、まず職員には『外国から来るのだから優しく接してあげてほしい』と周知しました。知らない土地で働くことへの不安を考え、言葉の壁や文化の違いにも配慮したサポートを意識しています。初期研修では携帯電話の翻訳機能を使い、職員が丁寧に指導しました。
実は、実習生を受け入れたことで、職員の意外な一面を知ることができたんです。休日に実習生を遊びに連れて行ったり、ご飯を食べに行ったりと、普段見えなかった優しさや面倒見の良さが引き出されていて、受け入れて良かったなと思います。利用者の反応は、最初こそ厳しい目で見られていましたが、実習生が真面目に働く姿を見て自然と打ち解け、今ではとても仲良く過ごしていますね。
ともに働く上で最大の課題は、言語です。介護記録をパソコンで入力する際、読めない漢字がでてくると業務が止まってしまいます。しかし、それで諦めるのではなく、毎日勉強をしていて、読める漢字も少しずつ増えてきているんですよ。
そして、一緒に働くことで、職場の絆が深まったエピソードもあって、忙しい時期に残業が続く私たちを見て、実習生たちから『手伝いますよ。私たちも残業しますよ』と、言ってくれたんですよ。お互いに支え合うようになったきっかけだと思いますね。
こうした職場での関わりに加え、施設行事で着物を着たり、三味線や和太鼓を楽しんだりと、日本文化を身近に感じられる機会を通して、実習生が地域に溶け込めるように支援もしています。
外国人材は、当施設だけでなく宮若の介護業界全体にとっても欠かせない存在です。人手が足りなければ、事業規模を縮小せざるを得ず、入所者の受け入れにも影響が出ます。介護保険制度を支えていくためにも、実習生の力は本当に必要なのです」。
◇介護老人保健施設 なびき苑
介護主任 入江 大吉(いりえ だいきち)
宮若市出身。44歳。なびき苑に勤務して25年を迎える。好きな言葉は『まるい心』。
◇外国人実習生が語る本音
「私は、人の役に立ちたい、そして人とふれあう、心温まる仕事をしたいと思っていたので、介護の分野を選びました。日本の介護は技術が進んでいるので、将来、母国に戻ってからも役立つ、高い専門性を身につけたいという強い思いもありました。
日本に来た当初は、福岡市の大橋にある技能実習生研修センターに一カ月間通っていたので、初めて宮若に来た時、率直に『田舎だ』って思いましたね。でも、それは悪い意味ではなくて、実際に生活を始めたら、自然がとても豊かで、空気がすごくおいしいなと感じました。
日本の介護施設で働くことについては、やっぱり文化が違うから、いろいろと難しさを感じることがあります。例えば、ごみの分別方法なんかは複雑で難しく、最初は戸惑うこともありましたね。
でも、仕事の中では楽しい瞬間もたくさんありますよ。人と関わる仕事なので、利用者の方から日本語を学んだりできるのはとても魅力的です。利用者さんが昔の話や、日本の文化について話してくれて、会話している時間は本当に楽しいです。
宮若での生活は充実していて楽しいけど、一つだけ困っているのは、スーパーが遠いことです。バス停も遠いので、買い物などのちょっとした移動の手段が限られるのが少し不便ですね。
休日は、買い物をしたり、勉強したりもしますが、一番楽しいのは、職員さんと一緒にお出かけすることです。この前は、ちょっと珍しいカエル料理を食べに連れて行ってもらいましたよ。あとは、春に犬鳴川河川公園に桜を見に行ったり、花火大会に行ったり、どれも本当に美しくて、ついつい写真をいっぱい撮ってしまいます。日本の四季や行事に触れることができて、とても良い経験になっています。
実習期間が終わった後は、やっぱり、日本で学んだことを生かして介護の仕事に就きたいという夢を持っています。それから、実習期間が終わるまでに、宮若の色んなところにも行ってみたいし、日本語をもっと勉強して、皆さんとたくさん話せるようになりたいです」。
◇介護老人保健施設 なびき苑
DO THUY TRANG(ドー トゥイ チャン)
ベトナムのタイビン出身。23歳。なびき苑で技能実習生として働いて1年7カ月を迎える。好きな日本語は『がんばります!』。
◇ここが私の好きな場所 追い出し猫のモニュメント
チャンさんと同じく、なびき苑で技能実習生として働いて1年10カ月を迎えるカオ・ティ・ニュンさん。好きな日本の食べ物は納豆だという、日本食が大好きな彼女に、宮若のおすすめスポットを聞くと、「バス停の近くにある猫の像がおすすめですね。かわいいし、きれいですよ」と、福丸にある追い出し猫のモニュメントを紹介してくれました。
