くらし 〔特集〕ともに生きる(6)

◆となりにいるあなたと
11月16日に市内で行われた環境クリーン作戦。そこには、楽しそうにごみを拾う外国人の姿がありました。彼らとともに参加した企業の担当者、大井健さんに、参加のきっかけや外国人社員への思いを伺いました。
「うちの外国人社員が環境クリーン作戦に参加するようになったのは、地域のために何かしたい、という思いが一番大きいですね。職場で『一緒にボランティア行かない?』と声をかけると、みんな嫌な顔をするどころか『行きたい!』と、返事をしてくれるんです。
ボランティア当日も、とても楽しそうでした。黙々と拾うだけじゃなく、歌いながら作業している子もいたんですよ。すれ違う人にはちゃんと『こんにちは』ってあいさつもしていて、地域の一員になっている感じがしましたね。
仕事でも、彼らは本当に真面目で明るいです。技能実習の期間が終わると、ほとんどの子が『またここで働きたい』と言って、特定技能で戻ってきてくれるんです。そう言ってもらえるのは、企業としても本当にうれしいですね。
課題があるとすれば、やっぱり言語です。会社の中ではある程度やり取りできますが、病院などに行くと聞き慣れないことばが出てきて、うまく伝わらないこともあります。だからこそ、地域とも連携しながら、行事やお祭りのボランティアにもどんどん参加して、日本語に触れてもらえたらと思います。
外国人に対して、悪いイメージを持たれがちですが、実際に関わってみると全然違いますよ。文化の違いでごみの分別が分からなかったり、生活のリズムが違ったりすることはありますが、良いことも悪いことも丁寧に伝えれば、必ず理解してくれます。同じ市民として、温かい目で接してもらえたらうれしいですね」。

◆編集を終えて
この特集を通して、みなさんに伝えたかったことは、「共生は小さな一歩から生まれる」ということです。ニュースやSNSでは、外国人排除をあおる声や強い言葉が飛び交い、ときに不安を感じることもあります。しかし、取材で出会った宮若で生きる外国人たちは、そのイメージとは全く違うものでした。
職場で、学校で、近所で。私たちのすぐ隣にいる外国人たちは、不安や戸惑いを抱えながらも、このまちで働き、子どもを育て、私たちと同じように日々を過ごしています。そんな彼ら彼女らの思いは、見た目や言葉だけでは決して伝わりません。「話してみたら外国人への印象が変わった」など、相手を知ろうとする小さな行動が、思いがけないつながりを生みます。
共生は、制度や仕組みだけで実現するものではありません。むしろ、私たちが普段の生活の中で重ねる『小さな関わり』こそが、地域が変わる確かな力になります。あいさつをしてみる。困っていそうな人に声をかけてみる。相手の立場を想像してみる。ほんのわずかなことでも、その一歩が未来の景色を変えていきます。この特集が、そんな一歩を踏み出すきっかけになればうれしく思います。
そして、最後にお届けしたこの言葉、「となりにいるあなたと」。それは、読んでくださったあなたのすぐそばに、同じ空気を吸い、生きる誰かがいるということへの、小さな合図でもあります。
どうか明日、すれ違う誰かとの距離が、ほんの少しだけ近くなりますように。そして、その変化こそが、私たちのまちの未来をつくる一歩になりますように。
(広報担当:端倉)