くらし (特集)動物と共生するために、今できること(1)

愛らしい仕草や温かなまなざしで、心を癒してくれる犬や猫。
その一方で、飼育放棄や虐待、野良猫トラブルなども少なくありません。
「人と動物、どちらも幸せに暮らすには?」
犬や猫との共生に向けて、今、あらためて考えてみませんか。

■かわいいだけじゃない命を預かるという責任
多くの人々に「家族の一員」として愛されるペットは、日々の暮らしに癒しや笑顔をもたらしてくれる存在。その一方で、飼育放棄や多頭飼育崩壊、動物虐待などの事例が後を絶ちません。
2023年度には、動物愛護法違反による摘発が全国で181件と、統計開始以来もっとも多くなりました。中でも猫への虐待が97件と多く、犬では食事を与えないなどのネグレクトが32件報告されています。近年、動物愛護の意識が高まり殺処分数は減少傾向にありますが、未だ犬や猫についての多くの課題が残されており、町の満足度ランキングでもペットに対しての項目は最下位となり、多くの苦情や相談が寄せられています。
こうした課題をなくしていくためにも、ペットを迎える時は「最期まで責任を持って育てられるか」をよく考えることが大切です。
また野良猫問題については、人と猫の共生を目指す「地域猫活動」も注目を集めています。地域全体で命の尊さを意識し、支え合いながら、人も動物も穏やかに暮らせる環境を築いていきましょう。

◇志免町における犬と猫の苦情件数(2018年度~2024年度)

◇みんなでみらいづくりアンケート(町民意識調査)

■志免町のワン・ニャンのトラブルランキング
(2018年度~2024年度)

≪TROUBLE≫
(1位)フン尿被害「176件」
トラブルの中でも特に多いのが、フンや尿による被害。その約7割が猫によるものですが、散歩中の飼い犬のフンを片付けない人も。庭や畑にフンをされて困っている、臭くて窓が開けられない、道に放置されたまま…。飼い主のマナーや地域の協力が大切です。

(2位)猫のエサやり「132件」
無責任なエサやりは近隣への迷惑につながるためやめましょう。ただし、エサやりだけでなくフンの後始末や不妊去勢手術を行う「地域猫活動」には、猫のフン害や繁殖抑制、ゴミあさりを減らすなど生活環境を改善する目的もあります。詳しくは6~8ページで紹介しています。(※本紙をご覧ください)

(3位)猫の鳴き声「35件」
猫の鳴き声がうるさい、夜中に鳴き続けて眠れないという苦情も多数寄せられています。庭先など自宅敷地内での鳴き声が気になる場合は、町が無料で貸し出している超音波で猫を遠ざける「猫除けセンサー」も有効です。詳しくは7ページをご覧ください。(※本紙をご覧ください)

(3位)猫が生まれている「35件」
家の軒下で子猫が生まれていた、子猫が捨てられているといった、猫の繁殖や遺棄に関する苦情も多くあります。ペットを飼育している人で、これ以上頭数が増えると飼育困難になる場合は必ず不妊去勢手術を行い、責任を持って飼いましょう。

(5位)不妊去勢手術に関すること「28件」
家に来る野良猫に不妊去勢手術を受けさせたい、補助制度を利用したいという相談も少なくありません。生活環境被害を軽減するため、町では地域猫の不妊去勢手術費用を支援しています。

(6位)犬の鳴き声「15件」
人が通るたびに吠える、早朝から吠えてうるさいといった苦情も届いています。飼い犬のしつけや環境の見直しなど、周囲への配慮を心がけましょう。

(7位)その他「55件」
虐待をしているようだ、飼えなくなったから引き取ってほしいなどの相談も寄せられています。飼い主が責任をもって、命と向き合うことが大切です。

◇犬や猫のトラブルエピソード
Aさんは長年、野良猫によるフン尿被害に悩まされていました。地域猫活動をしているBさんが、不妊去勢手術のために捕獲器の設置を依頼しましたが、猫嫌いのAさんは当初拒否しました。そこで、Bさんが活動の意義を丁寧に説明した結果、Aさんは了承し、無事に捕獲・手術が完了。以後、Bさんが猫の管理を続けています。Bさんはその後も活動を継続し、地域の野良猫は全て手術済みに。フン尿被害も大幅に減り、現在ではAさんもBさんの活動に協力しています。

◇担当課からのメッセージ
人と動物が共生するためには、一人一人の責任ある行動が欠かせません。野良猫への無責任なエサやりは、近隣の方とのトラブルにつながることもあります。町では、こうした行為への指導を行うとともに、地域の環境改善を目的とした地域猫活動への支援を進めています。一人一人の近隣に配慮した行動が、人にも動物にもやさしい生活環境づくりにつながります。

問合せ:生活安全課生活環境係
【電話】092-935-1136【FAX】092-935-2694