- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県添田町
- 広報紙名 : 広報そえだ 令和7年12月号
住民が主役のまちづくり―津野地区収穫祭の復活に寄せて―
まちづくりとは何でしょうか。立派な計画や、にぎやかなイベントを打ち上げることではありません。そこに暮らす人たちが、自分たちの地域を大切に思い、自らの手で動き出すこと―その積み重ねこそが、本当のまちづくりだと私は考えています。
このたび、津野地区で長い間途絶えていた「収穫祭」が、住民の皆さんの力で見事に復活しました。準備の段階から多くの方が関わり、当日は笑顔と活気にあふれ、まさに〝地域の力〞を感じる一日となりました。中には「子どもの頃を思い出した」「久しぶりに地域がひとつになった」と話される方もおられ、皆さんの表情が印象的でした。
この取り組みは、町が進めている「小さな拠点づくり事業」の一環として、時間をかけて支援してきたものです。町が前面に立って〝やらせる〞のではなく、住民の皆さんが「自分たちでやりたい」と思えるようになるまで寄り添う―その姿勢を大切にしてきました。結果として、住民の中に主体性と誇りが芽生え、これからも自分たちで続けていこうという気運が広がっています。これはまさに、地域が自ら動き出す〝持続するまちづくり〞の好例です。
いくら立派な企画でも、そこに地域の思いがなければ、長くは続きません。外から持ち込まれた活動では、地域の根っこに届かないのです。
今回の津野地区の取り組みは、地域の中から生まれ、地域の力で形になったものです。地域の笑顔とにぎわいは、一過性のものではなく、確かな〝絆〞として残っていくでしょう。
町としては、これからもこうした「住民が主役のまちづくり」を応援してまいります。派手ではなくても、地に足のついた活動こそが、町の未来をつくります。津野地区の収穫祭のように、地域が息を吹き返し、若い世代へと受け継がれていく―その循環を各地区に広げていけるよう、共に歩んでいきたいと思います。
