- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県添田町
- 広報紙名 : 広報そえだ 令和7年4月号
■守り継がれる文化財
英彦山神宮上宮の保存整備
田川市郡には19件の国指定文化財があり、その半数以上が添田町に存在しています。今回の歴まちコラムは、国の史跡に指定されている英彦山中岳山頂にある英彦山神宮上宮の保存整備工事に触れます。
国指定文化財19件の内訳は田川市が2件、香春町・川崎町・福智町・赤村が各1件、添田町が13件で、添田町の件数は群を抜いて多いことが分かるでしょう。これは地域の方々が地元で大切に守り残されてきたものを後世へ確実に継承してきた「努力の賜物」と言えます。
町内には国指定文化財の13件以外にも多くの文化財が大切に守り継がれてきました。例えば、中元寺の諏訪神社に生育する県指定文化財の天然記念物「イチイガシ」は幹に大きな損傷を受け、近年は生育状態が悪くなっていましたが、地域の方々が樹木医と協力して治療したことで生育状態が良くなりました。その他、各地域の祭礼では道具類の新調や修理などが行われ、お祭りが継続できるような取り組みがなされています。
令和4年度からは、英彦山中岳山頂にある英彦山神宮上宮の保存整備工事が開始されました。英彦山は国の「史跡」という文化財に指定されており、上宮は「史跡」の歴史的な価値を示す重要な文化財として位置づけられています。正面からは一つの建物のように見えますが、側面から見ると宝殿と拝殿の二つの建物が並んでおり、奥側の宝殿は天保13(1842)年、拝殿は弘化2(1845)年に佐賀藩主の鍋島斉正が再建したものです。上宮の歴史を紐解いてみますと、久安元(1145)年にお経が奉納された記録があり、この頃から祈りの場であったことが分かります。その後、社殿はいくども焼失しますが、そのたびに先人たちによって再建され、現在まで守り継がれてきました。近年では、地震や豪雨などの自然災害で倒壊の恐れが生じ、英彦山神宮が中心となり、保存整備工事に取り組み、令和7年秋頃の完成が予定されています。工事業者によると、安全を確保するため最善の方策を尽くしても、やはり山頂という厳しい自然環境で強風などにより部材の一部が剥がれ落ちるなど、大変危険な現場ということです。そのため、山頂周辺が立ち入り禁止となっていますので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。
文・西山紘二学芸員(商工観光振興課歴史文化財係)
問合せ:役場商工観光振興課歴史文化財係
【電話】82-1236