- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県添田町
- 広報紙名 : 広報そえだ 令和7年6月号
6月梅雨に入ります。行政では前年度の決算に取り組んでいます。決算報告につきましては、9月議会で審査してもらう事となります。厳しい財政状況の中、住民の皆様の福祉向上の為、「いつまでも健康で住み続けられる・住みたくなるまち」を目指し取り組んでいます。
今年度(令和7年度)、予算事業を含む3年間の主な事業を添田町第六次総合計画の取組区分で見ます。
【定住・愛着】では、国重要文化財中島家住宅の庭園整備事業、朝日ヶ丘団地建替事業、若者定住促進支援事業、旧政所坊庭園などの文化財保護事業、桝田駅コミュニティーセンター改修事業、歓遊舎ひこさんビジターセンター設置事業。
【稼ぐ・関係人口】では、BRT運行開始に伴う地域振興関連事業、農業の新たな仕組みづくりの農業振興検討事業、歓遊舎ひこさん周辺整備事業。
【支え合い・助け合い】では、みんなでまちづくり推進事業、医療用ウィッグなどの購入費を助成するアピアランスケア推進事業、医療的ケア児在宅レスパイト助成、移動販売事業。
【安全・安心】では、防災マップ作成配布、福岡県植樹祭の開催、帯状疱疹ワクチン予防接種事業、水道ビジョン改定事業。
【子育て・教育】では、添田町立小中学校整備事業、保育料完全無償化、放課後児童クラブ施設建設事業、添田町青少年グローバル人材育成事業、学校給食の無償化。
【関心・自立】では、デジタル活用支援推進事業、ホームページリニューアル、ICT活用技術者育成事業、等々行っています。
このような事業においても、大規模な事業となると特に財源問題が生じてきます。今年度予算を見ても、87億円の予算規模の内、皆さんからいただく町税収入は6億円です。残りは地方交付税や町債など借金で賄っている状況です。その借金(借入金)の中でも、今良く聞くかと思いますが、「過疎債」があります。
過疎債は、法のもと一定の基準以上に人口が著しく減少しているなどの要件により、過疎地域の指定を受けた市町村が、過疎からの脱却を目指す取り組みへの支援措置の一つ「過疎対策事業債」であり「過疎債」と呼んでいます。添田町は過疎地域の指定を受けています。
過疎債について少し説明します。目的は、過疎地域の持続的な発展を支援し、人材の確保・育成、雇用機会の拡充、住民福祉の向上、地域格差の是正などを目的としています。「過疎債」は有利な条件が設定された「地方債」です。「地方債」は家計でいうローンにあたります。あくまでも貸付であり、借金です。
「過疎債」をローンに例えた場合、(1)事業に必要な額の100%をローンにて資金調達できるため貯金を取り崩さなくて済む、(2)毎年の返済額に応じ70%がキャッシュバックされる、とイメージ出来ます。例えば、この春竣工した添田町立小中学校建設の主な財源は「過疎債」です。小中学校の建設の経費を約60億円とすると、約10億円は返還の必要の無い国からの補助金でした。残る約50億円については「過疎債」を活用し、返済する70%分が国から交付税として配分されるため、実質、町の負担は50億円の30%分にあたる約15億円となります。
このように「過疎債」は貴重な財源ですが、近年は国・県の予算配分や諸条件により、希望通りの額を借りられない場合もあります。これは、添田町同様に、各市町村においても老朽化対策など施設整備に関する要望が増えていることが要因とされています。
「過疎債」は有利な財源ですが、毎年返還の必要な借入金で30%は町の負担があり、その財源を確保しなければなりません。頼りすぎると毎年の返還額の増加により、将来の町の財政を圧迫し、持続可能性を損なう危険性があります。
今年度は、令和8年度以降の「過疎地域持続的発展計画」の策定を行う事となります。
「過疎債」の活用には、対象となる事業の目的を明確にし、計画に基づいた運用を行う事が重要であり、この事についても将来のことを見越し、今が良ければ先の事はどうにでもと言う意識でなく対応していきます。ご理解の程、よろしくお願いします。