- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県添田町
- 広報紙名 : 広報そえだ 令和7年11月号
朝夕の空気が澄み、山々が少しずつ秋色に染まりはじめました。英彦山の木々も紅や黄へと衣替えを進め、まもなく一年で最も美しい季節を迎えます。こうした自然の豊かさに包まれた英彦山は、同時に千年以上の歴史と独自の文化を持つ、まさに「学びの宝庫」です。この魅力を次の世代へ、そして町の外へと広げるために、「英彦山フィールドスタディ」を本格的に展開してはどうでしょうか。
フィールドスタディとは、実際の現場で学びを深める体験型の学習です。英彦山には、修験道の歴史、山伏文化、参拝道や奉幣殿といった文化財、さらには豊かな生態系と森が広がっています。これらを単に「見る」だけではなく、「体験し、学び、考える」プログラムとして組み立てることで、教育・観光・地域振興を一体化した新たなモデルに育てることができます。
例えば、既に一部行っていますが、歴史分野では、修験道の行程を一部歩きながら、山伏の精神や役割をガイドが解説します。文化分野では、かっての坊舎を再生した建物で座学やワークショップを行い、英彦山が果たしてきた宗教・経済・文化の拠点としての役割を学びます。自然分野では、四季折々の森の生態を専門家と共に観察し、環境保全の重要性を体感します。
これまで、これらについて、宿坊ありきで考えて来ました。坊舎を整備し宿坊として、多くの人を集めこれらを行う事を考えていましたが、まずは歴史・文化・自然を体系的にそれぞれのプログラムを提供し活性化する必要を感じています。手順の問題でしょうが、まず体系的なフィールドスタディが必要だと強く感じています。
このフィールドスタディは、地域経済の活性化にもつながります。先日、青少年グローバル人材育成事業に参加した生徒が、町に対してこんな事を提案していました。年間20万人いる英彦山の登山客から儲ける手立てを考えてはとの事でした。まさしく、彼女らの目の付け所は素晴らしいものがあります。それに触発され考えまとめたのがこのフィールドスタディです。まだ、町内をはじめ役場の中でもオーソライズされていませんが、これはやらなければならないし、やるべきだと思います。
年齢や目的に応じて考えてみました。小中学生には探検型の楽しい学習、高校・大学生には地域課題を考える探究型プログラム、一般の方には観光と学びを兼ねたツアーを提供できます。また、地域住民やガイド、研究者と協力し、英彦山ならではの「語り部」を育成することも重要です。
宿泊や食、交通、文化体験など、地元の資源を活かした関連産業を広げることで、地域経済の活性化につなげます。特に宿坊整備などと組み合わせれば、滞在型の学びの拠点として発展することができます。
英彦山の魅力は「歴史」「文化」「自然」が分かちがたく結びついている点にあります。この価値を体験として提供し、町の未来をつくる力へと変えていくために、「英彦山フィールドスタディ」を進めてはどうかと考えます。今後の、添田町英彦山の活性化を考え、まとめてみました。
