- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県多久市
- 広報紙名 : 市報たく 令和7年8月号
■「私たちの意識が社会を変える」
私たちは日々、さまざまな人と出会い、関わり合いながら生きています。名前も顔も、育った場所や環境も、考え方も、それぞれ違う人との関係の中で、お互いを認め合い、支え合ってともに暮らしているのです。しかし、そのような中で「出身地を知っただけで距離を取られる」「出自を理由に、就職や結婚が難しくなったりする」など、出自を理由とする不当な扱いや、偏見による差別が未だ存在しています。こうした差別は、自然にあるものではありません。差別する人がいるから、差別は存在します。
「あの人は〇〇だから」「あの地域は〇〇だから」といった思い込みや決めつけ、心ない言葉や態度が、誰かを深く傷つけてはいないでしょうか。「知らなかった」「そんなつもりはなかった」では済まされないこともあります。悪気がなかったとしても、無意識の中にある偏見や言動が、差別を支えてしまうことがあるのです。誰もが自分らしく生きられる社会をつくるために、大切なのは、歴史や背景を学び、差別の存在に気づくこと、不当な扱いを見たときに「それはおかしい」と声をあげること、そして想像することです。
目の前の誰かが、どんな気持ちでいるのか、どんな思いを抱えて日々を過ごしているのかを想像すること。それは、人と人とをつなげる一歩になります。差別のない社会は、私たち一人ひとりの心から始まります。
社会教育指導員 野中久美子(のなかくみこ)