- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県伊万里市
- 広報紙名 : 広報伊万里 令和7年7月号
■遺物余話『旧石器人の忘れ物?』
市教育委員会は、公共事業や民間開発に伴った遺跡の発掘調査を行っています。発掘調査で出土したもの(遺物)で、ちょっと変ったものや、出土品に関係する話題を紹介します。
平成2年から3年にかけて、松浦町桃川にある大光寺遺跡を調査しました。調査の結果、石器が約2万4500点出土し、約2万5千年前の旧石器時代の石器製作跡であることがわかりました。石器の材料は、ほとんどが腰岳産黒曜石でした。
遺跡からは、50センチ×30センチの範囲に、石器に加工される前の黒曜石原石9点が集まった状態(集石)で出土しました。それぞれの大きさは約7センチ×5センチ×3センチで、重量は200グラムから370グラムまであり、多くは250グラム前後のものです。他の遺跡の事例などから、かごか布袋の中に入っていたと思われます。
旧石器時代は、動物や木の実などの食料を採集しながら移動する生活であり、大光寺遺跡も一時的なキャンプ地のような場所だったと考えられます。この原石の一群は、次の場所に移動するときに、うっかり忘れてしまった『忘れ物』なのかもしれません。
問合先:生涯学習課文化財係
【電話】22-1262