くらし 【地域特集】kon-ne 西海

◆大人が楽しむ姿見せ 子どもたちに伝える
雪浦ウィーク実行委員会
会長 久保桂奈(くぼけいな)さん

西海市大瀬戸町雪浦地区で5月に開かれる町歩きイベント「雪浦ウィーク」。父親が仲間と共に始めたその姿を見て育ち、そばで支え、まちづくりのバトンを引き継いだ女性がいます。
雪浦ウィークは、どこか懐かしい町並みが残る同地区の飲食店や工房、民家などを舞台に住民との交流が楽しめ、多くの行楽客でにぎわいます。1999年にイベントを始めた住民の一人、川添酢造4代目の故川添成行さんの長女として、久保桂奈さんは生まれました。
雪浦くんちやペーロン、鬼火焚(た)き。久保さんは幼い頃から、子どもも主役になれる地元の祭りが大好きでした。「真剣に行事と向き合う、大人の背中もかっこよかった」と懐かしみます。成長とともに地域づくりに関心を持つようになり、地元の高校を卒業後、長崎大学環境科学部に進学。「当時から関心はあったが、自分が地元に戻ってまちづくりに関わるとは思っていなかった」と笑顔で話します。
転機は20代半ば。大学卒業後に勤務していた県内の出版社を退職し、実家の酢造で働くことになりました。地元では同世代の仲間が、かつての大人と同じように地域行事で指導する立場になっており、「『まちづくり』としてではなく、地域の営みとして自然に取り組んでいて、気が付いたら私も当たり前のようにその輪に加わっていた」と振り返ります。
コロナ禍には、大好きだった雪浦くんちの中止が余儀なくされました。「奉納されるシャギリの締め太鼓は、幼い頃のみんなの憧れだったので、子どもたちに晴れ舞台を用意してあげたい」と発起人となり、雪浦藝術祭を2022年に初開催。地域の伝統をつなぐ大きな役割も果たし、現在は地域住民が文化・芸術の取り組みを披露する貴重な機会になっています。
活動の根底には地域に対する思いがあります。「海、山、川。それに文化と人のつながり。何もないけれど、何でもあるのかもしれない」。その雪浦の魅力を子どもたちにも伝えたいと考えています。「大人が真剣に楽しみ、真剣に取り組むことが何よりかっこいい。その姿を子どもたちに見せることが一番の継承だと思う」。父親たちから引き継いだバトンを次代につなぐため、しっかりと握りしめています。

◇さいかい丼フェア
西海市内の飲食店が、地元の豊かな農水産物を使った特色ある丼を提供するイベント。今年は10月・11月の2カ月間、市内20店舗が参加し、「スイーツ丼」も登場。各店が趣向を凝らした絶品丼を味わってみませんか。

◇道の駅さいかい みかんドーム
半円形の大きなドーム形テントが目印の道の駅。西海市の生産者が作る特産品や、長崎県の逸品がそろっています。旬の食材を使ったジェラートも人気です。10月~3月は同市名産のみかんが並びます。

◇〔表紙のコト〕七ツ釡鍾乳洞
長崎県唯一の鍾乳洞。35の洞窟が確認されており、それらを総称して「七ツ釡鍾乳洞」といいます。洞窟の中を進むと6メートルの滝や直径60センチメートルの大石柱などが次々と現れ、神秘的な世界が広がります。
「10月13日~11月3日に『七ツ釡鍾乳洞と里山の秋まつり』を開催します。見頃を迎えるコスモスや無料開放する「化石の森」を楽しめます。1年を通してイベントを企画していますので、ぜひお越しいただきたいです。(西海市観光協会の佐藤施設長)」

NPO法人西海市観光協会 七ツ釡鍾乳洞事務所
場所:西海市西海町中浦北郷2541-1
営業:
・4月~9月…9時~18時(最終受付17時30分)
・10月~3月…9時~17時(最終受付16時30分)
※年末年始を除く
【電話】0959-33-2303

◇名物バス停そっくりの「あらかぶケーキ」
・お菓子のいわした
西海市崎戸町内に設置されている蠣ノ浦(かきのうら)アラカブバス停をそっくり模して誕生した「あらかぶケーキ」。西海市の魅力をケーキで表現したいという店主の思いで考案されました。レアチーズのブリュレやムース、スポンジを、生クリームや寒天でコーティングしています。

場所:西海市西海町七釡郷567
営業:9時~18時
※月曜定休(月曜祝日の場合火曜定休日)
【電話】0959-33-2535

◇豊かな海流が育むブランドタコ「ゑべす蛸」
・大瀬戸町漁業協同組合
五島灘の潮の流れが速い海域で取れるマダコを、七福神のえびす様にちなみ「ゑべす蛸」としてブランド化。水揚げ後すぐに塩もみして浜ゆでし、真空パックにしています。身が引き締まり、肉厚なのが特徴です。塩味が利いているので、そのままでもおいしく召し上がれます。

場所:西海市大瀬戸町瀬戸福島郷1432-2
営業:月~金曜 9時~16時
※祝日、年末年始を除く
※「ゑべす蛸」は同漁協や西海市内の直売所などで販売
【電話】0959-22-0039

◇〔地域のニューストピックを紹介〕西海橋架橋70周年・国重要文化財指定5周年記念シンポジウム
10月18日に架橋70年を迎え、西海橋の架橋70周年と国重要文化財指定5周年を記念するシンポジウムが開かれます。西彼杵半島発展の礎を築いた西海橋の歩みを、架橋技術、西海国立公園との関係、怪獣映画によるコンテンツツーリズムなどの観点で振り返ります。
※シンポジウムへの参加は事前申込制です