- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県
- 広報紙名 : つたえる県ながさき 第114号(令和7年10月号)
◆株式会社 大島造船所(西海市)
専務取締役 生産本部長
大島・香焼工場長 鉄構事業部長
椎葉 邦男(しいば くにお)さん
◇地域と共に発展し、環境対応船の建造など新しい技術にチャレンジ
「明るい大島、強い大島、面白い大島」をモットーに創業以来、地域と共に歩み続ける大島造船所。環境に配慮したウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)搭載船など、新しい技術に挑戦しながら、誰もが働きやすい職場づくりにも取り組んでいます。
西海市大島町は炭鉱の島でしたが、閉山をきっかけに企業を誘致することになり、1973年に大阪府にあった大阪造船所が誘致に応え、大島造船所が誕生しました。現在、鉄鋼石や穀物などを運ぶ「ばら積み貨物船」の建造を中心に、橋梁事業や大島トマトやメロンなどの農産事業も展開しています。2022年には三菱重工業から香焼工場を取得し、洋上風力発電の浮体部分など大型の海洋構造物の受注にも今後取り組む予定です。
海運業界でも省エネ化や脱炭素化が進んでおり、風力で船の推進力をサポートする環境対応船(ウインドチャレンジャー搭載船)を商船三井と共同で実証化し、二酸化炭素(CO2)排出量と燃料の削減が可能になりました。この実証化が令和7年度全国発明表彰※1でWIPO賞※2に選ばれました。今後の海運業界では、環境対応船の活用が広がっていく見込みです。
西海市出身の社員が多く働いているのも特徴の一つで、女性社員の割合も高く、溶接やクレーン運転などの分野で活躍しています。社員全員が働きやすい環境の整備に取り組んでおり、今年3月には福利厚生などの制度面が評価され、長崎県の「Nぴか※3」において、五段階認証の最上位である五つ星に認証されました。今後もより魅力ある職場づくりを推進して、お客さまが求めるものを造っていきたいと考えています。
竣工時に行う船の命名式には地域の人も参加でき、大島町では子どもの頃から造船所は身近な存在です。これまで地域と共に歩んできたからこそ、今後も地域と一緒に発展していきたいです。
※1 科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、優れた発明や今後大きな功績を挙げることが期待される発明などに貢献した人々を称える賞
※2 国際的な知的財産権(IP)制度の発展を担当する国連の専門機関が贈る賞
※3 長崎県誰もが働きやすい職場づくり実践企業認証制度