- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県島原市
- 広報紙名 : 広報しまばら 令和7年3月号
■風景の中にある活断層と断層地形を利用して造った人工のため池
国道57号を小浜方面から諫早方面へ走ると、千々石展望所や愛野展望台などの見晴らしの良い展望所があります。千々石海水浴場からこれらの展望所に上る坂道は、「千々石断層」が動いたことでできた断崖です。
島原半島は、雲仙火山を挟んで南北それぞれ引っ張られるように動いているため、半島のあちこちで大地の亀裂(断層)ができています。千々石断層は、島原半島最大の断層で東西方向に伸びており、断層から南側の地面が落ち込むような動きをする断層です。鉢巻山や吾妻岳の南側の急斜面、田代原などの盆地は、千々石断層の動きによってできました。千々石展望所から眺めると、海岸から山側へ伸びる活断層の動きによって生じた崖を身近に見ることができます。活断層は火山と同様に地震を引き起こし、地球の活発な動きを示す重要な証であり、防災上の注意が必要です。
「諏訪の池」は江戸時代に作られた人工の池です。諏訪の池周辺の岩石は、雲仙火山が誕生する50万年前以前の火山活動によるもので、比較的平坦な地形になっていますが、諏訪の池の南東縁は比較的急な崖になっています。これは、断層の動きでできた崖で、火山活動でできた平坦な地形が断層に沿って上下にずれています。当時の人々は、その崖下のくぼ地を利用して水をため、池を造り生活してきました。
諏訪の池のほとりに建つ雲仙諏訪の池ビジターセンターには諏訪の池周辺の立体模型の展示があり、これらの地形を確認することができます。また、周辺は野鳥や動植物の観察もでき、季節ごとに違った自然を楽しむ事ができます。
日常の風景ができた背景を調べると、面白い発見があるかもしれません。
問合せ先:島原半島ジオパーク協議会
【電話】65-5540