- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県大村市
- 広報紙名 : 広報おおむら 2025年9月号(No.1553)
◆心臓リハビリテーション
おおむらハートクリニック 院長 尾田 毅先生
心臓リハビリテーション(心リハ)という言葉を聞いたことはありますか?「整形外科や脳神経外科のリハビリは聞いたことがあるけど、心リハなんて聞いたことない」という人がほとんどだと思います。
心リハは心臓病の患者さんのためのリハビリですが、単なる運動療法ではなく、どんな病気にかかっているのか(疾病指導)、どんな薬を何のためにいつどのように飲んでいるのか(服薬指導)、塩分、炭水化物、脂質、タンパク質など食事内容はどうすべきか(栄養指導)などいろいろな角度から病気を理解し、治していく包括的なプログラムです。
心リハには医師だけでなく、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士など多職種が関わるのが特徴です。運動療法には有酸素運動やレジスタンストレーニング(筋トレ)があります。
心臓病の人を対象にしていますので、負荷をかけすぎるのは禁物であり、それぞれの患者さんに適したメニューを症状、血圧、脈拍数、心電図、体内の酸素濃度などを確認しながら専門の知識を持った理学療法士などの医療従事者が作成、指導していきます。適応疾患として、急性心筋梗塞、狭心症、心臓手術後、大血管疾患(大動脈解離、大血管手術後)、慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患、経カテーテル大動脈弁置換術後が挙げられます。
心不全とは「心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」で、原因として心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈、先天性心疾患などがあります。本格的な高齢化社会の到来に伴い、心不全は今後爆発的に増加していきます(心不全パンデミック)。
適切な薬剤の使用、必要な場合は手術やカテーテル治療に加え、慢性期にも心リハなどで生活習慣を改善させることにより心不全の増悪や入院を遅らせることができ、医療費削減にも寄与することが証明されています。