- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県人吉市
- 広報紙名 : 広報ひとよし 2025年11月号 No.1195
市では高齢化が進み、人口の約4割が65歳以上を占めています。全国的にも高齢化が加速し、著しく不足する介護人材。2040年までに約57万人の介護職員の増員が必要と推計されています(厚生労働省)。
こうした状況を改善しようと、介護の現場では処遇改善や働く環境の見直しが進められています。介護の仕事は、人の生活を支え感謝の言葉を直接もらえるなど「人の役に立つ」実感が得られるやりがいのある職業です。この特集では、地域で支え合いながら働く介護職の魅力に迫ります。
■若手リーダーが語る介護の現場
介護の現場をより良くしようと取り組む若手管理者などのリーダたち。働きやすい職場づくりや人材育成など、次代を担うリーダーたちに介護に対する思いを聞きました。
社会福祉法人天雲会 龍生園 施設長 髙村龍一さん(37)
小学生の頃のボランティアスクールなどの経験から、将来的に福祉の仕事をしようと決めた。大学で資格を取得して地元に戻って現在の施設に入職し、今年で16年目になる。
一般社団法人熊本県介護福祉士会 人吉球磨支部 副支部 長蓑田啓(ひろし)さん(45)
父親が倒れて介護が必要な状態になったことや母親が介護職をしていたこともあり、「自分自身がこれまでやっていない分野に挑戦してみよう」という思いから介護の世界に入った。
小規模多機能型居宅介護事業所 菜の花 施設長 永尾潤也さん(45)
20代のころは金融会社に勤めていた。金融会社を辞めた後に看護(准看)の資格を取りに行ったことがきっかけとなり、介護の仕事へ。今年で、15年になる。
◇温かみのある職業「介護」
蓑田:介護の仕事には苦労もありますが、利用者さんから「ありがとう」や「あなたがいて良かった」「助けられている」といった言葉をかけられることで、その苦労が癒されると感じるところが介護の魅力の一つですね。
髙村:確かに、「ありがとう」といった言葉はうれしいです。ほかにも、自分たちの関わり方一つで利用者さんの状態が良くなったり、良い状態を維持できたりする点も魅力ではないでしょうか。
永尾:人の人生に寄り添えることも魅力です。人の生活を支えることは簡単ではありませんが、介護をすることで自分自身も人として成長できるところにやりがいを感じています。金融業界では数字ばかりを追っていましたが、介護の仕事は人の心に常に向き合って仕事ができるという温かい感覚がありますね。
◇3Kのイメージは経験で変わる
蓑田:介護の仕事は、よく3K(きつい・汚い・危険)といわれることがあります。しかし、介護や医療の専門職の立場から見ると、「汚い」という要素は当てはまりません。例えば、排はいせつ泄の観察は利用者さんの健康状態を知る大切な手がかりです。利用者さんがその行動に至った背景を冷静にたどっていくと「私たちのケアが十分に行き届いていなかった」など原因に気付かされることがあります。そうした経験を重ねながら、リーダーとしては若手や経験の浅い職員に学びの機会を与え、自ら気付ける力を育てていくことを大切にしています。また、各施設では働く環境の改善にも継続的に取り組んでいるので、実際に働いてみると介護の仕事のイメージが大きく変わるはずです。
◇利用者にも職員にも優しい環境づくり
永尾:福祉用具をしっかりと見直し、利用者さんに合ったものを使うことで、スタッフの体力的な負担を減らす工夫をしています。また、無理のない支援体制を築くため、職員同士の「声掛け」や「連携」を重視。体格差があってもチームで連携してケアできるようバランス良くスタッフを配置するようにしています。
髙村:他職種との連携では、専門知識で活発に議論することは大切なことですが、それ以前に言葉遣いや表情などに気を付け、相手を不快にさせないようにする環境づくりを心掛けています。
蓑田:看護と介護など専門分野が違う人と働くことも多いので、お互いの専門性を尊重していくことが大切ですね。
◇カスハラから職員を守る
蓑田:近年、カスタマーハラスメント※が問題視されています。私が働く施設では、普段から近況報告や情報共有を小まめにするなど、利用者さんやご家族に対して積極的に話すことで、大きなトラブルを回避するようにしています。また、ご家族のリクエストについては、できる事をしっかり説明し、理想と現実を少しずつ理解してもらうという方法で対応しています。
髙村:カスタマーハラスメントなどに対しては、施設の行動指針があります。所定の様式を活用して報告するなど、対策を定めています。また職員が一人で抱え込まないよう、日頃からのこまめな声掛けを大切にしています。
永尾:介護職員は根が優しく、我慢する性格の人が多いです。当施設では「スタッフを守ることが一番」というスタンスを掲げ、不当な要求には対応しないようにしています。また、職員がすぐに相談できる環境も整えています。
※カスタマーハラスメント…利用者からの理不尽なクレームなど、不当な言動で従業員を害する行為のこと
◇何歳からでも誰でも挑戦できる介護の仕事
蓑田:介護は社会になくてなならない職業で、安定した生活基盤を作りやすい業種です。また、育休明けの子育て世代や他業種に行った人で介護福祉士などの資格を持っている場合も戻ってきやすい環境が整っています。介護には、国家資格である「介護福祉士」に加え、その上位となる民間資格「認定介護福祉士」があります。これは、管理者への新たな道筋が開けるものです。資格を取得して安心するのではなく、その後も研修などを受けて、スキルアップすることで職場に大きく貢献することができますよ。
髙村:どの施設も職場環境の改善をされています。50代くらいの人で親の介護に直面し、介護を勉強したいと就職した人もいます。若い人から、高齢の人まで幅広い年齢の人が輝けるいい職業です。介護職から一度離れてしまった人も戻ってきませんか?
永尾:自分の家族を家で介護するなど、介護の技術は今からの世の中、必ず必要です。その技術を働きながら習得できます。また、キャリアアップについても将来の道筋が見えやすい職業です。事業所もたくさんあるので、自分にあった事業所を見つけてみるのもいいですね!
問合せ:市高齢者支援課介護保険係
【電話】22-2111(内線1231)
