くらし 自助・共助で災害に備える(2)

■自助で備える~自分と家族を守る情報収集~
日々、大分県の気象についての情報を提供している気象のプロ「気象庁大分地方気象台」の土砂災害気象官の中村さんと防災指導係の中内さんに、昨年の台風第10号や自分と家族を守る「自助」に必要な『情報収集』について聞きました。

▽令和6年台風第10号
台風第10号は、8月27日に非常に強い勢力で奄美大島に接近し、29日8時頃には強い勢力で鹿児島県薩摩川内市付近に上陸しました。
その後、北東に進路を変えながら30日昼過ぎにかけて大分県を横断し、9月1日12時に東海道沖で熱帯低気圧に変わりました。

▽8月としては1位の降水量
台風第10号の影響により8月27日から31日にかけて、大分県内の広い範囲で大雨となり、29日の朝には大分県中部・北部に線状降水帯が発生しました。
8月29日には、アメダス豊後高田の8月観測史上1位となる日降水量162・5mm、アメダス国見では観測史上1位となる日降水量359・0mmを観測するなど記録的な大雨となりました。

▽梅雨の時期も大雨に注意!
令和6年台風第10号により各地で大雨となりましたが、梅雨の時期も大雨への注意が必要です。
九州北部地方(山口県を含む)の平年の梅雨入りは6月4日ごろ、梅雨明けは7月19日ごろです。6月から7月にかけては年間で最も降水量の多い時期となっています。
梅雨前線が対馬海峡から九州北部地方付近に停滞している場合に、南西から暖かく湿った空気が次々と流れ込み、大分県西部を中心に大雨となることがあります。
この暖かく湿った空気の流れ込みの強さによっては大雨の範囲が大分県北部まで広がり、豊後高田市でも大雨となる可能性があります。

▽命を守る情報収集
(1)「雨雲の動き」の確認を!
気象庁HPには「降水の強さ・雷の激しさや発生の可能性、竜巻などの激しい突風の発生しやすさ」の今の状況や、1時間先までの雨雲分布の予測を確認できる「雨雲の動き」というコンテンツがあります。
「雨雲の動き」には、線状降水帯が発生すると「雨雲の動き」の画面上に、線状降水帯の雨域を示す「赤色の楕円」を表示する機能もあります。
線状降水帯が発生すると災害発生の危険度が急激に高まりますので、どこで発生しているのかを把握しておくことが大切です。

(2)キキクルで早目の情報収集を!
大雨となっている場所は「雨雲の動き」で把握できますが、災害発生場所・時間とは必ずしも一致するとは限りません。
そんな時、ご活用いただきたいコンテンツが「キキクル」で、大雨時の主な3つの災害「土砂災害」、「浸水害」、「洪水災害」の危険度を5段階で色分けして、インターネットの地図上にリアルタイムで表示(左図は令和6年の台風第10号接近時のキキクル)します。
災害から自分自身や大切な人の命を守ることができる情報ですので、ぜひ、ご活用ください。

「キキクル」令和6年台風第10号8月29日15時

大雨による災害発生の可能性(危険度の高まり)が地図上で色分け表示されます。
黒を待たず
紫までに避難の判断を!

▽日頃からの備えと早めの情報収集が大切
日頃から、身の回りの危険な場所や避難場所をハザードマップで確認し、実際に歩いて、目で見て確認してどのような危険が潜んでいるのか知っておくことが大切です。
自分の周りにどのような危険があるのかを知っておくことで、ご活用いただく防災気象情報が変わります。
気象台では、大雨になる前から危険度の高まりに応じて段階的に情報を発表します。天気予報の解説で「大気の状態が不安定」、「暖かく湿った空気」、「激しい雨が降る」といった大雨となる可能性があるキーワードを見聞きしたら積極的な防災気象情報の入手に努めてください。
また、「雨雲の動き」や「キキクル」などを活用し身を守る行動につなげてください。