文化 木綿(ゆふ)の山通信

今回は、湯布院町の市指定重要文化財である「嶽雲庵(がくうんあん)の六地蔵」の紹介です。
湯布院の観光名所として名高い金鱗湖の北側に、岳本地区共同温泉「堂本の湯」があります。堂本の湯に向かって右手にある狭い石段の参道を登っていくと、嶽雲庵と呼ばれる小さなお堂があります。このお堂の左手に、ここで紹介する嶽雲庵の六地蔵があります。基壇・基礎・中台・龕部・笠部で構成されており、総高115cmを測ります。後の時代に補追されたと考えられる基壇部分には、寄進した人物や、石工の名、「寛政」の年号が刻まれています。
龕部は高さ42cm、幅40cm、奥行き40cmの規模に、四面全てに3体の像が彫られて合計12体となっています。いずれの面も中央の像を一回り大きく表現し、舟形光背(ふながたこうはい)(仏像の光背で、船首を上にして舟を縦に立てた形に似るもの)を持っています。
それぞれの像は舟形光背が深く彫り込まれ、像が立体的に表現される半肉彫り(半浮き彫り)で、存在感あふれる作風となっています。笠部は切妻屋根を模したような形状で茅葺屋根のようにもみえますが、このような形状の六地蔵は通常の六地蔵の石幢と異なった形態をしており、むしろ、小さなお堂をそのまま写し取ったような一風変わった作りとなっています。
由布市内ではこのような作風の六地蔵は他に類例がなく、唯一無二の存在で大変珍しいものです。

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