くらし ~「自治公民館」が生み出すもの~ 自治公民館に「メリット」はあるのかー(1)

■「自治公民館に入って、どんなメリットがあるの?」
自治公民館に加入している人も、加入していない人も、一度は考えたことがあることかもしれません。
そもそも、なぜ自治公民館は存在するのでしょうか?この「なぜ」に対する答えが「メリット」なのでしょうか。
本特集では、自治公民館の果たす役割はどのようなものなのか、そして、その活動は何のために行っているのかについて考えます。

○はじめに
家族、親戚、学校、職場、PTA、あるいは趣味を通じたつながりや近所付き合いなど、私たちの身の回りにある、人と人とのさまざまな〝つながり〟―。それは、私たちの生活に楽しさや喜びという幸福感など心の豊かさを与えてくれるだけでなく、いざという時に助け合える関係になれば安心感をも得ることができます。
自治公民館もその一つ。自治公民館組織やその活動もまた、私たちに〝つながり〟のきっかけを与えてくれます。現在、30地区で組織されている自治公民館は、地域の〝つながり〟を深めるために敬老会やまつりなどの行事を行ったり、より住みやすい地域づくりのために清掃活動、ごみステーションの維持管理、行政との連絡調整や要望活動を行うなどさまざまな活動を行っています。
しかし、近年、全国的に自治会への加入者数の減少が進んでおり、本町でも同様に減少傾向にあります。このまま減少し続けると、私たちの生活に何か影響があるのでしょうか。
自治公民館の活動をはじめ、町で〝つながり〟を大切にしながら活動する人たちの姿を通して、自治公民館の果たす役割や存在意義を考えます。

○人のつながりは、地域の力になる―
宮村地区小鷺巣(こさぎす)にある大平公園。都城盆地を一望にできるこの公園を、小鷺巣自治公民館の有志でつくる「大平(おおひら)公園整備委員会」が再整備しました。地域のつながりから生まれた公園の再整備によって、地域住民の憩いの場、子どもたちの遊び場が生まれたのです。

■自治公民館とは?
○平成4年に始まった、本町の自治公民館制度
昭和20年代、全国に次々と設置されてきた「公民館」。本町でも昭和21年以降、30カ所で設置されました。その後、昭和39年に「地区公民館制度」がスタート。さらに、平成4年に現在の「自治公民館制度」が始まり「自治会」の役割を担う29の「自治公民館」が立ち上がりました。
一般に公民館とは、組織名、施設名として使用されており、地域住民がさまざまな行事や活動を行う際の拠点として、その役割を果たす組織・施設をいいます。
町内では、現在30の自治公民館組織が、それぞれの地区の地区分館や児童館などを拠点に活動しています。

○自治公民館は、各地区による自主的な組織
現在の自治公民館組織は町が設置している団体ではなく、各地区で自主的に設置・運営されている団体です。
町は自治公民館に対してその運営を支援する「自治公民館組織活動交付金」を交付するなどして支援していますが、主な活動資金は加入世帯が出し合う公民館費や支部費などです。また、運営や意思決定は各自治公民館組織が行っています。
そして、前述のとおり自治公民館は「自治会」としての役割も担っており、自分たちの住むまちを自分たちの意思でつくり上げる「住民自治」の一翼を担う、非常に重要な組織です。

○歯止めのきかない加入者世帯の減少
しかし、近年、自治公民館への加入世帯数が減少しており、中には運営が困難になりつつある地域も出てきています。
下に示すグラフ「自治公民館加入率の推移」によると、平成16年には、町全体で73・5%もの世帯が自治公民館に加入していましたが、本年6月には56・4%にまで低下しています。
例えば、昨年度から本年度にかけては、加入世帯数が164世帯も減少。町全体の世帯数は増加しているものの、脱退する世帯や、そもそも加入しないという選択をする世帯が増え、加入率は今もなお右肩下がりの状況です。

○見えてきたのは意識や生活スタイルの変化
一体、加入率低下の原因は、どのようなものなのでしょうか。今回広報みまたでは、加入・非加入世帯にインタビューを行ったほか、町のLINE公式アカウントを使ってアンケートを実施しました。
それらの結果から見えてきたのは、自治公民館の活動内容に対する肯定的、または否定的な意見の数々です。
さらに、核家族化、少子高齢化や共働き世帯の増加など、社会の変化が影響していると思われる、私たち一人一人の意識の変化や生活スタイルそのものの変化が見えてきました。

自治公民館 加入率の推移

※世帯数は住民基本台帳による。
※世帯数には、一部の医療・介護施設を含んでいない場合がある。
※平成16年の世帯数は7月1日時点、加入・非加入世帯数は4月1日時点。

○アンケートを実施 大きな関心は「ごみステーション」
10月に本紙が行ったアンケート「自治公民館に加入していますか?」では、加入しているかどうか、さらに加入している理由、加入していない、または退会した理由を尋ね、197件(うち、町外在住13件)もの回答が寄せられました。
加入している理由として最も多かったのは、約60件ほど寄せられた「ごみステーションを使用したいから」を含む回答。「ごみ捨て」は日常生活に深く関わるものであり、多くの人が加入の理由として挙げました。中には「ごみ捨てをするために仕方なく加入している」といった〝つながり〟を得ることを必ずしも求めない意見もありました。
加入している人から届いた意見として目立ったのは「助け合い」「協力」「つながり」などを大切にする意見。一方で、加入している人・加入していない人ともに、役員になった際の負担を嘆く声も寄せられました。

○見えてきたキーワード 加入・非加入者の共通項
自治公民館に加入している人から住民同士の〝つながり〟に関する意見も出た一方で、加入していない人からは〝つながり〟を求めない意見が出ました。また、自治公民館に加入していない人から「近所付き合いもなく孤独感を感じる」といった声も寄せられました。
〝つながり〟を求めて加入している人もいれば、〝つながり〟が必要ないから加入していない人もいる―。自治公民館の役割は、この〝つながり〟にヒントがあるようです。
町内には、すでに〝つながり〟の希薄化が課題になっている地域があります。そして、その地域の現状を知り、このままではいけないと立ち上がり、住民や関係機関と共に動き始めた人がいます。
次ページでは、そんな地域の現状に思いを寄せ、支援を始めた人の活動と、その胸中に迫ります。

「キーワードは〝つながり〟」