くらし 特集:見えない壁

自転車の前でひとりの外国人が困っています。この光景を見て、あなたはどのような行動をとりますか?「日本語が通じないかもしれない」「怪しい」「怖い」という理由で、声をかけるのを諦めていませんか。実はこの方、日本語で日常会話をすることができ、日頃は私たちと同じように自治会などの地域活動にも参加されています。

私たち日本人は、外国人との間に意識せず『見えない壁』を作っています。出水市内で外国人住民が増えている今、外国人へ抱いているマイナスのイメージや偏見を一人ひとりが見直す時がきています。『見えない壁』を少しずつ崩していくことが、多文化共生の第一歩。外国人の皆さんと、共に安心して生活していくための動きが始まっています。

■動き始めている多文化共生
少子高齢化や都市への流出により、市内の人口は減少の一途を辿っています。その中でも労働人口の減少は深刻で、働き手確保に多くの事業所が苦慮しています。そんな中、注目されているのが『外国人材』です。出水市には、現在約30か国の国籍の方が住んでおり、医療・介護・製造・農業など私たちの生活に直結する仕事を外国人の皆さんが担っています。外国人材のおかげで成り立っている部分もある私たちの生活。しかし、外国人の皆さんに対し私たちは3つの壁を作り出しています。あなたも壁を作っていませんか?

◇出水市人口

◆外国人との間に作り出している『見えない壁』
◇日本語が喋れない理解できない

日本語で日常会話ができる市内在住外国人の割合
82%

多くの外国人は日本語が喋れる

◇怪しい・怖い

出水市内での犯罪発生件数
336件[R3]→314件[R6]

外国人の増加が犯罪の増加にはつながらない

◇トラブルを起こしている

祖国と違う日本のルールやマナーを知らない

ルールやマナーを伝えることで解決できる問題も多い

市内では、外国人の皆さんを社会の一員として受け入れ、共生する先進的な取組をされている方々や事業所が続々と増え始めています。その取組の一部をご紹介します。

※1 市在住外国人向けアンケート結果より
※2 鹿児島県警察「市町村別の犯罪発生実態」より

◆WORK–仕事–
◇大切な仲間たちが活躍できる場を創る
株式会社やなせ
代表取締役荒木勝さん

私たちの会社は10年前から、実習生や正社員など100人以上の外国人を受け入れ、人材確保の問題を乗り越えてきました。外国人材は、私たち企業にとって欠かせない存在です。貴重な人材である外国人の皆さんが、日本人従業員と共に安心して働けるよう、独自のコミュニケーションハンドブックの作成や通訳の配置による細かな生活支援など職場環境整備を行ってきました。それらの取り組みを認めていただき、今回、「かごしま外国人材受入優良企業表彰」において、優秀賞を受賞しました。これからも外国人の皆さんが能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めていきます。

◇従業員の皆さん
「外国の人は若くて元気な人ばかり!職場を明るくしてくれる太陽みたいな存在です♪」
「会社が仕事も生活も手厚いサポートをしてくれるので安心して毎日を過ごせています♪休みの日は、日本人の友達と遊びに行っています!」

◆LIFE–生活–
◇「外国人だから」という壁を壊す
鶴亀タウン自治会
自治会長 白石ひとみさん

私の自治会には、現在3名の外国人が加入しています。皆さん冗談を言い合えるくらい日本語が上手で、日本人と同じように接しています。自治会活動も同じで、外国人の皆さんにもリサイクル活動や清掃活動、班長の仕事をしてもらっています。初めは大丈夫かなという心配もありましたが、外国人の皆さんは日本語という難しい外国語を覚えられるだけあって頭の良い人たちばかり。日本人と同じように責任をもって、丁寧に任された仕事をしてくれます。「外国人だからできないかも」という壁は、すぐに壊しましょう。

◇鶴亀タウン自治会員の皆さん
「『カタコトで話す日本人』と言っていいくらい外国人の皆さんは思いやりがあって丁寧です♪」
「自治会の活動を皆さんと一緒にしたかったけれど、難しそうだし自分から言うのが恥ずかしかったです。今は皆さんと活動できて楽しいです♪」

◆LEARNING–学び– × EXCHANGE–交流–
◇「知ること」から始まる
日本語学習支援よかど
代表 野村芽衣さん

過去に東南アジアのラオスで日本語を教えていた経験を生かし、現在市内で日本語学習支援を行っています。市が毎月開催している、日本人と外国人みんなで出水の暮らしを学び交流するワークショップの講師も務め、多文化共生に取り組んでいます。私は多文化共生に必要なのは「知ること」だと思っています。考え方や習慣が違うのは当たり前。しかし、その違いがあることを知らずに否定・非難だけしても前進しません。知ることで初めて理解が生まれ、受け入れられるようになります。私は、異国の地日本で、仕事と勉強を両立し、祖国にいる家族のために努力する外国人の力になりたいと思い活動しています。あなたの近所に住んでいる外国人がどんな国から来て、どんな仕事をして、どんな夢をもち、勇気を出して日本に来たのか少し想像してみてください。そして話かけてみてください。知ることで、あなたの心が動き、変わり始めます!

◇ワークショップ参加者
「家に一人でいる時間は寂しいので、他の国の人や日本人の方々とお話ができるのでとても楽しいです♪今回、新しい友達が2人もできました♪」
「以前、海外でたくさんの現地の方に助けられたり優しくしてもらった経験があります。その恩返しとして、日本にいる外国人の皆さんと交流することで、少しでも役に立てればと思っています♪」

◆外国人と話す時に使おう!『やさしい日本語』
~会話編~
上手く使うポイントは…『はさみの法則』
『は』っきり/『さ』いごまで/『み』じかく
出水弁は我慢しましょう

例文) ごみ収集車は月曜日の9時ごろに来ます。
回答) ごみを集(あつ)める車(くるま)は、月曜日(げつようび)の午前(ごぜん)8時(じ)30分(ぷん)から午前(ごぜん)9時(じ)30分(ぷん)までに来(き)ます。

紙(かみ)で情報(じょうほう)を伝(つた)える時(とき)は全(すべ)ての漢字(かんじ)にふりがなをつけましょう。

◆市内在住外国人に聞きました
Q.あなたが日本人に求めること(してほしいこと)は何ですか?
1位:差別や偏見をなくしてほしい[38.7%]
2位:考えていることを直接伝えてほしい[36.1%]
3位:挨拶や会話をしてほしい[28.4%]
4位:地域のイベントなどを教えてほしい[25.8%]
5位:積極的に話しかけてほしい[23.2%]

◇外国人は壁を作っていない
出水市多文化共生推進室
統括監 松井勉

昨年行ったアンケートの結果、多くの市内在住外国人が、日本人との間に差別や偏見などの壁があると感じていることがわかりました。そして、2位以下の結果を見ても、外国人の皆さんは、日本人ともっと交流をしたいと考えていることがわかります。「日本人との間にある壁をなくし、一緒に日本での生活、出水での生活を楽しみたい」というのが外国人の皆さんの本音です。市では、昨年度多文化共生のまちづくりを推進外国人は壁を作っていない出水市多文化共生推進室統括監松井勉する専門部署を新設しました。日本語教室やワークショップ、イベントへの参加など、日本人と外国人をつなぐ活動を行いながら、見えない壁を「作らない」「なくしていく」取り組みを進めています。国籍に関係なく、同じこのまちの住人全員が、安心して暮らせるまちを創っていきます。

◆外国人と日本人をつなぐ架け橋に仲間を募集しています
市では、日本人と外国人みんなが笑顔で過ごせるまちづくりを一緒に取り組んでくれる仲間を募集しています。
・市内に住む外国人の皆さんと日本語を通じて交流したい方
・外国人の皆さんが日本語を学ぶ手伝いをしてみたい方
※外国語を話せる必要はありません。年齢性別問いません[中学生・高校生も参加可]

◆大丈夫(だいじょうぶ)ですか?サポート(さぽおと)します
~外国人(がいこくじん)の皆(みなさん)が相談(そうだん)できる窓口(まどぐち)があります~

困(こま)っているときわからないときは相談(そうだん)してください。私(わたし)たちがサポート(さぽおと)をします。友達(ともだち)と市役所(しやくしょ)に来(き)てもいいです。ひとりで来(き)てもいいです。電話(でんわ)・Messenger・Instagramでも相談(そうだん)できます。

お近くに住んでいる知り合いの外国人へ、市役所に相談窓口があることをお知らせください

問合せ:多文化共生推進室(たぶんかきょうせいすいしんしつ)
【電話】0996-63-4196