- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県中種子町
- 広報紙名 : 広報なかたね 令和7年(2025)6月号
■『性教育』という言葉を聴くと、どんなイメージをされますか?
世代や受けてきた教育により、一人ひとり違うイメージを持たれると思います。子どもへの性教育が大事とわかっていても、戸惑いを持たれる方も多く、何から始めたら・伝えたらいいかわからない、という声もよく聞かれます。助産師である私が、一昨年より島内の小学校で、保護者の方や先生方にお伝えしてきた『包括的性教育』についてご紹介します。
日本では性教育と聞くと性行為そのものや、命の大事さを伝えるイメージが強いかと思いますが、国際的には人権や人間関係を学ぶところからスタートしています。ジェンダー平等や性の多様性まで含む学びが包括的性教育です。
(1)人間関係
(2)価値観、人権、文化、セクシュアリティ
(3)ジェンダーの理解
(4)暴力と安全
(5)健康と幸福のためのスキル
(6)人間のからだと発達
(7)セクシュアリティと性行動
(8)性と生殖に関する健康
という8つのメインテーマがあります。
世界での教育は5歳から段階的に始まっています(ヨーロッパでは0歳からがスタンダードです!)。その学びの中で自分の権利や、対等な人間関係を学んでいきます。仲が良くても、親子でも、教師と生徒でも、本当はされて嫌なこと、したくないことを言えなかったりしませんか。また、良かれと思って言った一言が相手を傷つけてしまったり、大人の世界でもこういったことがあるかと思います。大切な自分や相手の身体と心守るためには、幼少期から人権をベースにした対等な人間関係の作り方を学んでいく必要があります。
最近は「プライベートゾーン(水着)で隠れる部分」は触れさせてはダメ、という教育が広がっていますが、本来は身体のどんな部位でも、自分の身体が触れられるのが嫌なときは嫌と伝えてもいいのです。身体だけではなく、心にも人によって触れてほしくない部分があったり、この人には話せるけど、この人には嫌だな、という境界線が誰にでもあるはずです。その境界線が守られることが安心の土台となり、自己肯定感や自己決定できる力に繋がっていきます。
子ども達に向けた『からだの教室』や、大人に向けた講演や勉強会を開催しています。性教育は人権教育。まずは大人から学んでいきましょう!
文責:うみの陽助産院 武田 あつみ
【E-mail】[email protected]
お問い合わせ先:種子島地区基幹相談支援センター
【電話】28-3633