- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県中種子町
- 広報紙名 : 広報なかたね 令和7年(2025)8月号
■種子島と時計草の静かな歩み
この時期、香り高いパッションフルーツが旬を迎えます。
南米原産のこの果物が、いつしかこの島にも根づいたのは大正時代といわれております。最初は観賞用として庭先に植えられ、島の人々はその独特の花のかたちや、甘酸っぱい香りを楽しんでいたとのこと。
昭和の終わり頃になると、「博芳(はくほう)」という品種が導入され、栽培が本格化。暑さに強く、台風にも耐える丈夫さと、南国らしい風味で、島の気候にぴったりでした。令和の現在では、果肉の赤みが美しい「ルビースター」など新たな品種も登場し、贈答品としてもより人気を集めています。
パッションフルーツは、英語で「passion=受難」の意味をもち、花の姿がキリストの受難に似ていることから名づけられたと言われています。一方で、島ではその鮮やかな香りや爽やかな味わいから、夏のご挨拶や贈答品として親しまれるようになりました。
先月はニガダケが贈り物として届けられましたが、今月はこのパッションフルーツが、季節の彩りを添えます。
自然の中で育まれてきた島の果実。その一粒一粒に、静かに息づく歴史と文化を感じてみてください。
中種子町文化財 保護審議委員 大山 要