- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県那覇市
- 広報紙名 : 広報なは市民の友 2025年4月号
自閉症やその他発達障がいに対する理解を進めるための啓発活動が各地で展開されています。市では、「さぽーとせんたーi」「さぽーとせんたーiから」へ委託して発達障がい者へのサポートを行っています。
[サポート内容]
各種相談、家族や支援者へのトレーニング、就労準備支援、居場所や一人ひとりにあわせた活動提供(ボランティア・他者との交流・余暇活動・当事者会・ソーシャルスキルトレーニング・ストレスマネジメントなど)
■世界自閉症啓発デー 啓発イベント
日時:4月5日(土)10時~13時
場所:牧志駅前ほしぞら公民館
内容:講演会や作品展、掲示物など
■さぽーとせんたーi
場所:三原2-6-1 2階
【電話】987-1167
令和7年4月で6年生になる発達障がいの息子がいます。1歳半健診時の助言で、デイサービス(児童発達支援)に通い始め、「すぐ何かしてくれるだろう」「この子を変えてくれるだろう」と思っていましたが、デイサービスの先生に「息子さんはお母さんやみんなの様子をよく見ている、無理やりその場に加えることはできるが、そうすると無理やりやらせる場所なんだと学習してしまう」と教えてもらいました。息子の行動に「どうしてそんなことをするの?」と怒ってしまう時期もありましたが、さぽーとせんたーが主催するペアレントトレーニングを受講し、彼がなぜそのような行動をとるのかわかるような発見が多くあり、「息子から見える世界」が少しずつ理解できるようになりました。また、自閉症で作家の東田直樹さんの本を読む中で、「息子は上手に話せないけれど、何もわからないわけではなくて、人の話をよく聞き、大人の表情や動き、その場の空気感などから色々なことを感じて判断している」とわかるようになりました。息子の行動を悲観して泣き暮らす時期もありましたが、振り返って思うのは、味方になってくれる人は必ずいるということです。話すことで気にかけてくれる人は結構多いということも、経験を通して知りました。悩みが一気に解決するわけではないですけれど、確実に味方が増えていきました。大切なのは学校やサポートしてくれる方々に自分の気持ちや希望を知ってもらうこと。自分の考えを知ってもらうだけでも意味があると思います。共感は得られなくても、理解はしてくれるかもしれない。協力してくれるかもしれません。息子も成長し、状況も変化してきました。先入観や偏見、既存の価値観を押し付けるのではなく、お互いが許容しあえるような環境が増えていくといいなと思います。ゆっくり成長していく息子と一緒に、私自身も変化し成長できることに喜びを感じています。
(利用者 安里さん)
■さぽーとせんたーiから(思春期以降)
場所:首里鳥堀町4-106-4
【電話】882-4266
「iから」の利用を始めて14年、その時々に困ったことを相談し活動に参加しながら、現在は主に困ったときの相談と土曜の居場所を利用しています。僕は、困りごとが強くなったのをきっかけに、成人後「発達障害」という診断がつきました。当時20代だった僕にとって、「iから」には40代の方もいて、人生の先輩と一緒に活動し雑談する中で色々な人がいるというのを知り気持ちが楽になり、世界が広がりました。困りごとの中では「仕事」のことが多くを占めていましたが、当時は自分だけで就活していて、面接をいくら受けても採用されない、採用されても続かないことに、「自分は社会に必要とされていないのでは?」と悩んでいました。そんな時に「iから」に相談し併設の就労支援事業所に通うことになりました。実際に体験した後の丁寧な振り返りを通して気づきを得、「自己理解を高め、うまくいく工夫」を一緒に考えてもらいました。自分が希望していた職場に採用され、今年で5年目になりますが、職場では優先順位の管理など苦手なことはサポートしてもらい、得意なスキルを発揮して同僚から感謝されることも増えてきています。今後も色々なことがあると思いますが、困ったときにSOSを出せる場所があることが僕の支えになっています。どうしたらいいんだろうと途方に暮れるより、「まず相談してみよう」という選択肢をとれるのが大きい。困っている家族はこういうサービスを積極的に使ったほうがいいと思います。本人も家族も、とりあえず聞ける場所がある、セーフティネットとして大きな存在です。
(利用者 眞喜志さん)
◇支援者 iから 前田さん
発達の凸凹のある方にとって大事なのは、「自分の能力を発揮できる条件」を知っていること、得意なことは伸ばし、苦手なことはうまくいく工夫を見つけることです。そのためには本人の自己理解が必要です。例えば、眞喜志さんは以前の職場では遅刻が多く注意を受けていましたが、「どうしたら改善するのか」がわからなかったのです。支援者は、寄り添い、丁寧に振り返りをすることで遅刻をする原因(特性)を探り、うまくいく工夫を一緒に考え実行できるようサポートしました。それを実行できているため、眞喜志さんは今の職場では遅刻はしていません。「こうすればうまくいった」という経験が自信になり、他の困りごとに対してもうまくいく工夫と条件を自分で見つけて、必要なときにはSOSを出せるようにもなります。発達の凸凹のある方には、自分を理解し、寄り添ってくれる安心安全な環境が必要です。「iから」は診断の有無に関わらず利用できるので、気になることがあればお気軽にご相談ください。誰もが「自分が自分であって大丈夫」と思える地域社会になったらいいですね。
■市内の相談窓口や取り組みがわかる
「発達の気になるこども相談窓口のご案内」冊子「普通って、なぁに?シリーズ」を、障がい福祉課窓口で配布、HPでもダウンロードできます。
◇こちらでも相談受け付けています!
・相談支援事業所ひかり
場所:首里石嶺町1-151-5
【電話】886-6688
・地域生活支援センターEnjoy
場所:浦添市前田1004-9
【電話】877-0552
・障がい者相談支援センターすこやか
場所:古島2-14-4
【電話】884-3872
問合せ:障がい福祉課
【電話】862-3275