- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県金武町
- 広報紙名 : 広報金武 2025年5月号
■トロピカーナ社とのリゾート開発計画撤退と今後の取組みについて
本町では、2012年にディジャヤランド・デベロップメント社(現…トロピカーナ・デベロップメント社)との間で若者の雇用創出や町特産物の消費拡大、商工会との連携、地元住民と観光客の交流の場を提供するなど、魅力的な観光エリアを創出することを目的にホテル等の誘致を推進しておりました。
しかしながら、2024年12月にトロピカーナランド・デベロップメント社から撤退の報告を受けたためこれまでの経緯等について説明致します。
これまでの計画内容はホテル、商業施設、マンション、ヴィラ等を5工区に分けて15年間で約800億円を投資し、約800人の雇用を創出する計画となっておりました。
同計画では、100年間の土地賃貸借、町有地の賃料の支払いを20年間の免除等の契約を締結しており、同社はヒルトン・ワールドワイド社とホテルの運営受託契約を締結し、第1工区の造成工事が完了しておりました。
一方、海岸整備については、金武町とトロピカーナ・デベロップメント社とのホテル建設に向けての覚書に明記されているため、事業主体である沖縄県に対して、ビーチ予定地の岩礁除去や海岸整備に関する要請をしておりましたが、県側の予算確保に時間を要したことや金武湾を囲む3市町村の漁業組合の同意に時間を要したため、遅れが生じました。特に、KINサンライズビーチから距離の近い宜野座村漁業協同組合との調整については、2015年から2018年にかけて金武町議会議員の皆様と連携して調整や説明を行い、ご理解を頂くことが出来ました。
その後、沖縄県が海岸整備事業、2019年には町がKINサンライズビーチ海浜公園整備事業に着手したことから、トロピカーナ社に対して、ホテル着工計画及び工程表の提出を求めたところ、新型コロナウイルス感染症の影響や建築資材の高騰など不安定要素が多い中で、着工時期や工程表の提出は控えたいとの回答がありました。
2021年には、再度ホテル着工計画及び工程表の提出を求めたところ、新型コロナウイルス感染症終息後の市場調査や事業計画等を完成させるため、完成後のリゾートホテル運営会社を選考中であるとの回答を得ました。
2022年に、KINサンライズビーチ海浜公園と沖縄県の海岸整備事業が完了した際には、同社のプロジェクトチームが来庁し、ホテル着工の遅れについての謝罪と海岸整備への感謝、ホテル着工へのマスタープランが示され、2023年にホテル着工予定との説明を受けておりました。
2023年には、ヒルトン社との契約解除になったことやトロピカーナ社から新たなホテル運営会社と調整中であるとの報告を受け、ホテル建設の早期着工をするように文書を手交しました。その後も、マスタープランは履行されず、具体的な計画等の説明も無いため顧問弁護士に相談し、2024年7月には本町からトロピカーナ社に対して、8月末までに事業計画を提出しない場合は、覚書、基本合意書、土地賃貸借契約を解除する旨の文書を送付しました。同通知を受けたトロピカーナ社からは、12月末までに第1工区の開発に関する実施計画を作成するため、提出期限の延長要請の文書が届きました。町では、9月にトロピカーナ社に対して、12月末までにホテル建設に向けた計画書、その実現性の根拠資料の提出を求めました。
12月初旬には、トロピカーナ社が再度来庁し、現在の進捗状況の説明を受け、12月末のプレゼンテーションに向けての報告がありました。また、トロピカーナ社の代表であるタン・スリ氏が、ホテル着工を進めていくと意思表示を示す目的で役場へ来庁されました。しかしながら、12月27日には、プロジェクトの実現可能性、全体的な開発コスト、日本国内の建設費用等を慎重に再評価した結果、プロジェクトから撤退するという文書が届きました。
以上の経緯を踏まえ、町としてはギンバル訓練場跡地開発計画の初期目的である町民の雇用創出や地域の活性化等につなげるため、新たな企業誘致に向けて取組みを進めてまいります。
※黄色箇所は、2024年12月までトロピカーナ社が事業計画をしていた区域です。
※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。