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【特集】イライラしない子育てのコツ 親も子も幸せに(2)

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兵庫県三田市

■虐待が起こす、子どもへの悪影響
・反抗的になる
・がまんができない
・親子関係の悪化
・いじめの被害者や加害者に
・非行や不登校
・学習困難、学力低下
・コミュニケーション能力の欠如
・そううつ病、うつ病
親子へのさまざまな悪影響の原因に

体罰や「生まなければよかった」などの暴言が、子どもの成長・発達に悪影響を与えることが科学的に明らかになっています。
体罰や暴言を浴びせると、子どもが一時的に落ち着いたように感じるかもしれませんが、脳へ損傷を与え、体にさまざまな弊害を引き起こすとともに、親子関係にも悪影響をもたらします。

▽木下直俊(きのしたなおとし)さん 児童精神科医/兵庫県中央こども家庭センター
子どもへの「痛みを加えた指導」「恐怖を与える」「人格や存在を否定する」などの行為は、問題行動の根本的な解決に至らず、子どもの将来を考えると逆効果を招きます。
研究では、18歳までに「小児期逆境体験」のある人は、アメリカでは全人口の3分の2、日本では全人口の3分の1もいます。体験していない人と比較すると、心身への悪影響により、違法薬物摂取などの発生率が高く、「脳卒中」「がん」「糖尿病」などの発症リスクも高くなっています。さらに、抑うつや自殺未遂、怒りをコントロールできないなど、大人になってからも子どもの頃の体験に苦しむ人が多い傾向があります。
原因は、ストレスホルモンをコントロールする臓器の異常。そこから、脳や心臓血管などに長期にわたって負担がかかることで弊害が生じます。また、子どもの時に受けたダメージが遺伝子に影響し、さらにその子どもに遺伝する可能性を示唆する研究もあります。
これまでの過ちに悲観するのではなく、子どもが受けたダメージを和らげる方法があります。それは、「子どもへの無条件の愛情」「子ども食堂などを訪れ、社会とのつながりや役割を持つ」「食事に困らない生活」などを続けることで、ホルモンや自律神経が安定し、回復する可能性があります。子どもがスムーズに成長しないときに生じる親の焦りを「ちゃんとやりなさい」とぶつけるのを我慢し、「できないことがあっても、それでもあなたは素晴らしい」というメッセージを子どもに伝え続けることが、結果的に子どもの成長につながります。

親として、「理想の子どもに育てよう」「将来困らないようにいろいろ教えないと」―そんな思いから、しつけとして子どもに厳しく接することがあるかもしれません。
でも、「しつけ」と「体罰」は違います。
たとえ親がしつけのためだと考えていても、体罰はどんな軽いものでも子どもに悪影響を及ぼします。
子育てでうまれたイライラを子どもにぶつけ、脅しや暴力などで行動を強制するのではなく、親と子どもの「良い関わり」を深めていくことが重要です。
・しつけ…社会において自立した生活を送れるようにすることなどの目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為
・体罰…子どもの身体に何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為(罰)

▽小児期逆境体験の研究とは
子どもの頃に経験した「心理的虐待」「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「家族の離別」「家庭内暴力の目撃」「家族の精神疾患」「家族のアルコール・薬物などの乱用」「家族の収監」が、大人になったときどのような影響を与えているかの研究

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