くらし 心のバリアフリーを知り、ともに働く、楽しむ

障がいのある方と一緒に働くときに大切にしたい心がけや、一緒に取り組めるスポーツなどを紹介します。

■共に働く シュリーの店の店長×管理者 インタビュー

シュリーの店では、障がいのある方もない方も一緒に、靴の修理や合鍵の製作などをしています。市内6店舗で合計15人が働いており、そのうち9人は身体障がい、3人は精神障がいがあります。今回は、シュリーの店東光ストア円山店店長の中野(なかの)さんと、管理者の石岡(いしおか)さんにお話を聞きました。

▽苦手なことにどう向き合うか
中野さん:5年前からシュリーの店で働き始め、昨年から店長をしています。私は精神的な障がいがあり、状況の把握や細かい予定を組み立てることが苦手です。そのため、お客さんが求める修理の内容をできるだけ詳しく聞き取って把握したり、細かい予定はとにかくメモをして見える場所に貼ったり、自分なりに工夫して苦手を解消できるように努力しています。

石岡さん:私は管理者として、中野さんたちが困ったときに相談に乗るほか、苦手な仕事は無理に押し付けず、手助けするようにしています。苦手なことはそれぞれ違うため、一人一人と向き合うように心がけています。

▽見守ってくれることがうれしい
中野さん:働き始めた頃、ベテランの先輩から仕事を教わった時に「まずは、やりやすいようにやってみて」と、作業の始め方と終わり方だけ伝えられ、過程については任せてくれました。きっと、心の中では私の作業の進め方に対して言いたいことがあったと思うのですが、見守ってくれていました。直すべき点を、作業が終わってから優しく教えてくれたので、次に生かすこともできました。見守ってくれることで、安心して取り組むことができましたね。

石岡さん:自信を持って仕事に取り組んでもらえるように、感謝や信頼を言葉で伝えるなど、安心できる雰囲気づくりをしています。失敗しても責められない、相談しやすい環境を整えることが大切だと思います。

▽働く上で大切な心のバリアフリー
中野さん:働きやすい環境をつくるためには、とにかくコミュニケーションを取ることが大切だと思います。悩んだときやモヤモヤしたときに、周りに話しやすいと安心できますね。

石岡さん:障がいの有無にかかわらず、「みんな違ってみんな良い」という価値観を持つことが、心のバリアフリーにつながると思います。困っている人を見たら自然に手を差し伸べる、そんな雰囲気の職場でありたいです。

・さっぽろシュリー公式LINE(ライン)では、シュリーの店の最新情報を定期的に配信しているほか、来店時にポイントをためて、特典をもらうことができます。

■共に楽しむ パラスポーツの世界
▽フロアバレーボール
前衛の3人が目隠しをしてプレーし、後衛の3人がボールの位置やブロックなどを指示し、協力しながら楽しむ球技。ネットの下を通るようにボールを転がしてプレーします。

・杉本さんに聞いた! フロアバレーボールの魅力
視覚に障がいのある方とない方が同じチームでプレーできるのが特徴です。コミュニケーションが勝利の鍵となるので、仲間との絆も深まります。

▽ボッチャ
赤・青それぞれ6球ずつのボールを投げたり転がしたりして、白い目標球(ジャックボール)にどれだけ近づけられるかを競うスポーツ。重い障がいによりボールを転がすことが難しい方でも、傾斜台などの補助具を使って参加できます。

・取材した編集者も体験してみました!
動作そのものは簡単ですが、狙った場所にボールを寄せるのは難しかったり、さまざまな戦術があったりと、奥が深いスポーツだなと感じました。

▽車いすラグビー
四肢に障がいのある方が行う、車いす同士のタックルが認められている競技。金属のフレームで覆われている車いす同士の衝突による激しい衝撃音は迫力満点です。

・取材した編集者も体験してみました!
運動が苦手でも、競技用車いすを操作する楽しさを感じることができました。パスやタックルなどを体験し、その場ですぐに夢中になれました。

▽実際にパラスポーツを体験してみませんか?
ここでは紹介できなかった多種多様なパラスポーツを楽しめるほか、冬季パラスポーツの体験もできます。

費用:無料
申込:当日直接会場へ。時間内は入退場自由。持ち物などについては本紙掲載のコードでご確認を

問合せ:市スポーツ協会
【電話】530-5563

■デフリンピックで活躍! 手塚清貴(てづかきよたか)選手に聞く、心のバリアフリー
Q.1 障がいのある方、ない方が一緒にプレーをすることもあると伺いました。どのようにコミュニケーションを取っていますか?
私は重度の難聴で、主に手話で会話しますが、手話が分からないチームメイトとは読話※1や筆談でコミュニケーションを取ります。ただ、試合中はできないため、身ぶりで思いを伝えます。
※1 相手の口の動きなどを見て、話していることを読み取る方法

Q.2 日常生活で大切にすべき心のバリアフリーを教えてください。
生活する中で一番うれしいのは、「ろう者」と分かっても一人の人間として関わってくれることです。これまで、飲食店などで「ろう者」だからとポイントカードを渡さず、速やかに会計を終えようとされるなど、残念な気持ちになることが何度もありました。誰もが互いに優しい気持ちで接し合う世界であってほしいです。

Q.3 手塚さんのデフリンピックへの思いや、注目してほしいポイントを教えてください。
デフリンピックに出場し、「ろう者」ならではの強みである視野の広さを武器に戦えたことは、私にとって自信になりましたし、最高の経験になりました。デフリンピックのバスケットボールでは、ブザーの音が視覚的に分かるように旗やフラッシュランプを活用したり、プレーしながら手話で話すこともあります。デフスポーツ※2 ならではの面白さを感じてもらえるとうれしいです。
※2 聴覚に障がいのある方が行うスポーツ

※手塚清貴
札幌聾(ろう)学校で教員として勤務。耳が聞こえない・聞こえにくい人のためのオリンピックである「デフリンピック」のバスケットボール男子日本代表選手として活躍。11月に行われた東京2025デフリンピックにも出場。

問合せ:障がい福祉課
【電話】211-2936