- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道旭川市
- 広報紙名 : こうほう旭川市民「あさひばし」 令和7年9月号
水道管(配水管)は、浄水場で作られた水道水を皆さんの元へ届けるために欠かせない重要な存在です。
今回は、普段目にすることのない〝水の通り道〞水道管(配水管)に注目し、老朽化した管の更新工事の現場や、それを支える人々の姿をお伝えします。
■現在使用している管は地震に強く100年使用が見込めます
▽老朽管を更新!
老朽化した水道管が増えており、古い管では昭和30年代に整備したものも。皆さんの元へ安全安心な水をお届けするためには、古くなった水道管を計画的に更新(交換)していく必要があるのです。
■水道管の更新工事って?
「水道管の更新工事と聞くと、道路を掘るなどの現場作業を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はその前にたくさんの準備があるんです。」そう話すのは、水道局水道施設課で工事の設計や積算などを担当する藤原ひかるさん。水道工事の計画から現場工事に至るまでの流れを教えてくれました。
■STEP01 事前の更新計画策定
計画の策定に当たっては、まず、ガス管などの埋設物の位置や道路の構造などに関する資料を集め、関係機関と綿密な打ち合わせをします。
その上で区間や規模を決めて設計図を作成し、必要な費用を積算して工事の発注に至ります。一連の作業の中でも、設計図の作成と断水計画の策定は特に重要な工程です。
▽PickUp 設計図作成
設計図は水道管を入れる位置や配管などを分かりやすく間違いのないように作成します。管の大きさや材料の種類などが一目で分かるよう、特別な記号を使っているのが特徴です。
▽PickUp
断水計画策定水道工事に伴う断水は、事前の計画と調整が重要です。手順を誤ると多くの利用者に影響が及ぶため、業者と綿密に打ち合わせを行い、慎重に準備を進めます。
▽更新計画の流れ
(1)路線の決定
古くなった水道管や漏水が発生した箇所などをチェックして工事を行う場所を決定
(2)断水計画策定
周囲に配慮し、断水の可否や工法、時間帯を検討
(3)地下埋設物の調査
他の埋設物とぶつからないか確認
(4)設計図作成
配管位置や工事方法の図面を作成
(5)積算
必要な資材・人工・費用を算出
▽計画策定だけじゃない!
現場工事が始まると…工事監督員として、工事が適切に施工されているか確認するために、現場に立ち会います。
■STEP02 いざ!現場工事!
▽PickUp 現場工事の流れ新しい管の布設(ふせつ)
現場工事では、まず古くなった水道管のそばに、新しい水道管を入れる作業(布設)が行われます。地下にある他の埋設物(ガスや電気の管など)に注意しながら、慎重に溝を掘り、その中に新しい水道管を1本ずつつないで設置していきます。
管の大きさや現場の状況にもよりますが、1日に布設できる距離はおよそ15~25メートルほど。設置した管の位置や高さをしっかり調整した後、土を埋め戻して、その日のうちに道路の表面を一時的に舗装し、仮復旧します。これにより、夜間や休日にも一般の車が通行できるようにしています。
▽〔工事を支える人たち〕ライフラインを守る使命感
・大建工業代表取締役 山瀧泰輔(やまたきたいすけ)さん
管の布設時は、事前の想定になかった埋設物が見つかることもあり、計画通りに進まない場合もあります。他の埋設物を避けながら慎重に作業を進めるため、常に緊張感が伴う大変な作業ですが、終えたときの達成感とやりがいはすごく感じますね。
弊社は60年、ライフラインを守る水道工事を行っています。水道工事は皆さんに安全な水を供給する、社会に貢献できる仕事です。若い方やUターンされた方にもぜひ注目してほしいと思います。
▽pickUp 断水・接続作業
新しい水道管が設置されたあとは、古い管から新しい管へ水の流れを切り替える作業を行います。このとき、一時的に水を止める必要があるため、「断水・接続作業」を実施します。
まず、仕切弁を操作して水を止め、古い管を切断し、新しい管と接続します。その後、管の中に入った空気を抜いたり、水の濁りを洗い流したりして、安全な水が通る状態に整えます。断水はおおむね3~6時間ほどで終わります。安全に作業を進めるためには必要な時間ですのでご理解、ご協力をお願いします。生活への影響を少しでも減らすため、夜間に作業を行うこともあり、作業時間や方法は慎重に計画しています。
▽〔工事を支える人たち〕技術と自信が手に入る、やりがいある仕事
・北岸工業代表取締役 北岸睦(きたぎしあつし)さん
水道工事というと大変な仕事という印象を持たれがちですが、私の感覚では思っていたほど負担はなく、むしろ資格や技術が身に付き、自信にもつながる誇りある仕事だと感じています。ぜひ若い方にも興味を持っていただきたいです。
・北岸工業工事課長 太田哲也(おおたてつや)さん
断水を伴う水道工事は、決められた時間内に終えること、そして安全に進めるための現場管理が大切です。工事中、皆さんからのお声がけはうれしく励みになりますし、計画通り終えたときの達成感は大きいですね。
▽現場工事の流れ
(1)地下埋設物の調査
水道局が発注した図面を確認し、工事箇所に他の埋設物がないか調査
(2)新しい水道管を布設
道路を掘って、新しい管を設置
(3)新しく入れた管の清掃・検査
管の接続に不具合がないか? 水は安全か? をチェック
(4)給水管のつなぎ替え
給水管(宅地への引き込み管)を新しい管に接続
(5)断水・接続作業
水の流れを止め、古い管を切って、新しい管とつなぐ
(6)付属設備のつなぎ替え
消火栓や排水設備、水圧計などを新しい管につなぐ
(7)道路を元通りに復旧
道路を舗装して、工事完了