- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道歌志内市
- 広報紙名 : 広報うたしない 令和7年2月号
■「歌志内の中にある炭鉄港・記憶も遺産」
かつて炭鉱で栄えた歌志内には、多くの貴重な「産業遺産」が点在しています。産業遺産と言われても、ピンと来ないかも知れません。
炭鉱が操業していた当時は当たり前の風景だった立坑櫓(たてこうやぐら)や、坑口、そして炭鉱で働く人たちの文化娯楽施設として昭和28年に建設された旧上歌会館(悲別ロマン座)、これらが「産業遺産」と言われるものです。
そして現在では、炭鉱があった時代の人々の暮らしや、子どものころの記憶、それらもまた、大切な「遺産」として位置づけられています。記憶も遺産なのです。
ハモニカ長屋と言われた炭鉱住宅でのにぎやかな暮らし、そして歌志内各地で掘り出された石炭を運ぶ鉄道、歌志内線をめぐる思い出、それら全てが、残すべき価値のある貴重な「炭鉄港」遺産です。
かつて明治時代に、九州筑豊炭鉱(きゅうしゅうちくほうたんこう)で働いていた山本作兵衛(やまもとさくべい)氏が思い出すままに書き残した「筑豊炭坑絵巻」はユネスコの「世界記憶遺産」に登録されています。
そんな昔の普通の暮らしに光を当て、歌志内の古老たちの炭鉱の思い出、証言を丁寧に傾聴し「記憶を記録に変える」取り組みも有志により始まっています。
自分の住んでいるまちに世界中が注目するこんなにも貴重な遺産が残っている。
「炭鉄港」の活動は、私たち市民がその誇りを自覚し、郷土を大切に思うきっかけとなる活動でもあります。
〔地域おこし協力隊 石井葉子〕