- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道歌志内市
- 広報紙名 : 広報うたしない 令和7年9月号
■当時の旧上歌会館設計断面詳細図と透視図
旧上歌会館は前述のとおり、渡邊氏が設計した建物ですが、歌志内が豪雪地帯であるにもかかわらず正面のほとんどがガラス張りとなっており、それは昼間でも日の当たらない炭鉱坑内で働くかたがたに少しでも明るい空間で楽しんでほしいという心遣いが現れた設計なのではないかと考えられています。
■景観の維持と保存、イベントの開催
これまでに官民が協力し、旧上歌会館及び敷地内の修繕・保存に取り組んできました。
そして今回の構成文化財認定により、今まで以上に同会館の価値が高まっています。
これまで同会館の保存に取り組んできたウタピリカ代表の佐藤さんは「保存活動を振り返ると、やっとスタートラインに立てたことに感慨深さを覚えるとともに、この建物が地域の記憶をとどめ、人と人をつなぐ大切な場所であると改めて実感します。今後は助成金を活用したVRやドローン撮影、デジタルアーカイブの作成など、イベントと保存の両輪で、歴史の継承を進めていきたいです」と同会館での取り組み予定について話してくれました。
戦前に作られていたというピアノ「ホルーゲル」や映写機など歴史ある貴重品を見ることができます。毎月1回、定期的に開催されるイベント時は中に入ることができますので、ぜひ皆さんも日本遺産「炭鉄港」の構成文化財となった同会館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
■Interview
◇本町在住 本城義雄(ほんじょうよしお)さん
「旧上歌会館は私が学生時代の思い出の場所の一つです。その会館が今回、日本遺産の構成文化財に認定されたことをうれしく思います。ここまでがんばってきた皆さんに感謝の言葉を送りたいです。人を引きつける何か特別な物を感じる建物ですので、ぜひ多くの人に見ていただきたいです」
◇ボランティア団体ウタピリカ 代表 佐藤友美(さとうともみ)さん
「旧上歌会館が日本遺産「炭鉄港」の構成文化財に認定されたことを、とてもうれしく思います。歌志内の自然と歴史を守り、人と地域を未来へつなぐ場として、これからも市民の皆さんとともに、大切に育んでいければ幸いです」