- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道知内町
- 広報紙名 : 広報しりうち 2025年7月号
■真藤寺と三地蔵
重内から湯ノ里に抜ける道道を6月ごろ通ると、湯ノ里に入る手前のあたりで藤の花が咲いているのが見られます。
「大野土佐日記」には、昔真藤寺という寺があったと書かれています。砂金を求めてやってきた荒木大学が建保(けんぽう)5年(1217)、出石丸山の裾野(すその)に城郭を構え、その後近くに菩提寺(ぼだいじ)を建てました。その庭の藤棚にかかる真藤が一面に咲くと紫の雲がたなびくようだった、ということで真藤寺と言われ、その跡が残っている、という内容です。
場所については「此処ちりちり川真藤寺山も近所真藤山と相となえ候」とあり、現在のチリチリ川と知内川の合流する付近の山腹と思われます(違う場所とするものもあります)。
そしてこの真藤寺には金の鶏が埋められたという伝説があります。「松前落穂(おちぼ)集」によると、荒木大学がアイヌの反乱で攻められた時、持っていくことのできなかった金の鶏を井戸に隠して松前に逃れました。後にそれが時々鳴くのが聞こえた、という話です。現在藤の花が咲く場所が真藤寺、というわけではありませんが、この金の鶏を探し辺りを歩いた人が昭和になってからもいたといいます。