- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道森町
- 広報紙名 : 広報もりまち No.239 令和7年2月1日号
■鷲ノ木遺跡の価値
鷲ノ木遺跡は大沼から札幌までを結ぶ北海道縦貫自動車道の開発に伴い鷲ノ木町で発見され、2003年~2004年にかけての発掘調査により約4,000年前(縄文時代後期)の環状列石(ストーンサークル)と竪穴墓が存在することが分かりました。
鷲ノ木遺跡の環状列石は駒ヶ岳が見える丘の上に造られていて、直径は約37mあります。これは道内にいくつか点在する環状列石の中でも最大規模の大きさです。竪穴墓は環状列石の南西側に約5m離れた地点にあり、直径約11mの竪穴の中に7つのお墓が確認されています。
環状列石は約4,000年前や3,000年前の時期に東北地方で多く構築されるようになります。有名な遺跡だと大湯環状列石(秋田県鹿角市)や伊勢堂岱遺跡(秋田県北秋田市)、小牧野遺跡(青森県青森市)、大森勝山遺跡(青森県弘前市)などがあります。
ほとんどの遺跡で、環状列石の周辺にお墓が発見されることから、亡くなった方を弔う儀式や祭事が行われていたと考えられます。また、近くに集落が見つかっていないことが多く、複数の集落の人々が集まって大切に維持や管理をしていたと考えられています。
鷲ノ木遺跡は、東北地方でみられる大規模な環状列石が北海道でも存在していたことが分かる遺跡であり、精神文化や自然に対する価値観、社会構造が津軽海峡を越えて共通するものであったことを示しています。東北地方との繋がりが分かる遺跡として学術的価値が非常に高いことから2006年1月に国の史跡に指定されました。現在は、遺跡の地下をトンネル化して現地で保存するとともに、令和9年度の公開に向けた整備が進められています。
町教育委員会では、鷲ノ木遺跡の価値や魅力を未来へ繋ぐため、公開後に現地を案内していただくガイドを養成するための講座を開催いたします。詳しくは本紙13頁をご確認ください。